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「ねえ、Aちゃん」
「なぁに?」
「好きなのは俺の演奏だけ?」
「……そうね」
あぁ、また悲しい音がする。
何が君を悲しませているんだ。
俺じゃ君を救えないのか?
「どうしたら俺の事好きになってもらえる?」
「そうねぇ……本当の私を見つけてくれたら、かな」
「本当のAちゃん?」
「そう。本当の私」
いったいどういう事だろう。
あ、今は鬼だから、人間のAちゃんを好きになれって話?
そんなの鬼だろうが関係無い。
俺はAちゃんが好きだ。
他の誰よりも好きな自信ある。
ふと、Aちゃんが寝言で言っていた事を思い出した。
「ねぇ、Aちゃん。『あさひ』って誰?」
聞いた途端、Aちゃんは凄い驚いた顔をした。
それと同時に悲しい音がした。
俺は何か触れてはいけない話題に触れてしまったのかと、悩みに悩んでいた。
「私はね、ここの世界の住人じゃないの」
んん?どういう事だろう?
世界?住人?
でも嘘はついてないし、本当の事なんだろう。
俺は静かにAちゃんの話を聞いた。
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作者名:ぴぴぴっぴ x他1人 | 作成日時:2019年11月8日 0時