Summer Memories. (ページ26)

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顕嵐side

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『顕嵐へ
突然でごめんね。
親の仕事の都合で東京に転校することになっちゃった。
何も言わなかったのは本当に申し訳ないって思ってる。
でも言わなかったんじゃなくて、言えなかったの。
ずっと、ずっと大好きな顕嵐だったから。
大切にしてくれた顕嵐だったから。
転入して早々、好きだって言ってくれて、
すごく嬉しかったよ。
顕嵐と一緒に行った夏祭り、4人でよく集まった顕嵐の家。
その他も全部全部、私の楽しかった思い出だよ。
小学生の頃から転校って多かったんだ。
だから友だちもいなかった。
こんなに仲良くなれたのはちひろ、怜央、
そして顕嵐が初めてだよ。
初めて転校したくないって思った。
3人とこのまま一緒にいたいって今でも思う。
このことは恥ずかしいから、ちひろと怜央には
言わないでね。2人だけの秘密。
顕嵐がこれを読む頃には
私は東京でバタバタしてるのかな。
顕嵐のことずっとずっと大好きだよ？
私も忘れないから顕嵐も忘れないでね。
約束だよ？ちひろと怜央にもよろしく。
Aより』

便箋が涙で滲まないように堪えるのが

必死だった。

こんなん書かれたら、

忘れくても忘れらんねぇわ。

一連の文章を何回も読むうちに

Aはこの街にはいないんだってことが

徐々に実感出来て。

その日は1日、涙が止まらなくて。

食事も喉を通らない。

そんなこと、初めてだった。