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第3話 ページ5

男の首元を見て、安室は立ち止まった。男の首元には銀色の太い首輪が巻かれていた。喉元あたりには透明なカプセルと小さなライトのようなものがついていて、緑色に光っている。

「なんだ、それは?」

風見が構わず近づいていくと、突然、首輪のランプが赤色になった。

「風見!離れろ!」
安室の声に男に近づいていった風見は「え?」と振り返った。

「助けてくれ!」
男は風見に救いを求めるように手を伸ばして近づいた。首輪の透明カプセルから左右に伸びたチューブにはピンク色の液体と水色の液体が入っていてそれぞれが喉元の透明カプセルへと流れていく。その色の液体…安室はその色を少し前に見たような気がしたがすぐに頭からおいやる。2液が透明カプセルで混じりあった瞬間、爆発が起きた。凄まじい爆風が風見と安室を襲い、安室は受け身を取りながら地面に転がった。

「大丈夫か、風──」
頭をもたげて風見を探すと、爆風に飛ばされた風見は立体駐車場の螺旋状になっているスロープの端に乗り上げていた。気絶しているようでその体はズルズルとスロープ壁の向こうへ落ちて行く。安室は起き上がり走り寄って風見の足を掴んだ。宙ぶらりんになった風見からメガネが外れ、吸い込まれるように落下する。雨で濡れたコンクリート地面までは10m以上あり、落ちたら、まず助からない。

「風見…!」
上半身を壁に乗り上げ、片手で風見の足を掴んだ安室は、重さに耐えながら声をかけた。しかし、風見は万歳するように両手をだらりと地上に向けて垂らしたままぶら下がり、返事はない。身動きの取れない安室の背後から、誰かが近づいてくる気配がした。

安室の背後に誰かが立っていた。気配に気づいた安室が振り返ると__それは死神だった。正確に言えば、死神のマスクとマントをかぶった人物だ。男か女かも分からない。死神姿の人物と対峙した安室は、フッと微笑んだ。

「3年ぶりだな…やはりアンタだったか。奴を脱走させれば確実に僕が出てくる。そういう読みだったんだろう?」

死神姿の人物は、首輪を持っていた。安室達追っていた男がしていたのと同じ物だ。首輪の正面が開き、その横には透明なカプセルがついている。死神は安室にゆっくりと近づいた。風見の足を掴んでいる安室は動くことが出来ない───

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作者名:東方大好き x他1人 | 作成日時:2022年6月14日 15時

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