35 ページ35
.
「ふぁぁ…お疲れ様です…」
なんとか23時までのバイトを終え、駐輪場で先輩に挨拶をした
遅刻しそうになったせいで時間に余裕がなく、この時間まで何も食べずに過ごしたため、空腹で今にも倒れそうになっている
「お腹空いた…」
きゅるる と小さく鳴ったお腹をさすった後、自転車の鍵をカバンから取り出した
「コンビニでなんか買って帰ろっかなー」
とぼんやり考えながら自転車の鍵をさしていると
ブルルルル…
と聞きなれた音が聞こえた
バイクの音だ
誰のバイクだ、とか考える時間はなかったけど 反射的に 私は顔だけ後ろに振り向いた
少し離れたところで バイクを止め、ヘルメットを頭からとっている男の人の影が見える
“ あれ、今帰んの? ”
私だとすぐにわかったのだろうか、
その人はエンジンを止め、バイクから降りながら私に向かって話しかけた
「あ、小瀧くん、」
こんどは体ごと後ろに振り返ると、ヘルメットで乱れた髪の毛を乱暴に整えながら 彼はこっちへ近付いてきた
「何しにきたの?」
目の前でぴたっと止まり、私を見下げている
こんな時間にバイト先に来るなんて 何か用事でもあるのだろうか
小「あ〜、今日昼間バイト入ってて、更衣室に忘れもんしたし 取りにきてんけど…もう店閉めたん?」
「あ、さっき閉めちゃった」
小「げっ、タイミングわっるー」
頭をわしゃわしゃと掻きながら 小瀧くんは眉間にシワを寄せた
「もうちょっと早く来ればよかったのにー」
そう言いながら小瀧くんのお腹をコツンと叩くと、「だっるー」と言いながら向こうも私のお腹を軽くコツンと叩いた
ぎゅるる…
すると、また私のお腹の音が小さく鳴った
そういえば私、お腹空いてたんだった…
小「腹減ってんの?」
「うん…」
小「帰ってなんか食うん?」
「コンビニ寄って帰ろっかなって」
また小さくきゅるきゅると鳴っているお腹を寂しく眺めながらさすっていると 「なぁ、」と頭の上から声が聞こえた
小「俺も腹減ってんねん」
「ほぉ、」
小「あっこ、食いに行く?」
ここからは見えないけど、大通りに出たところにあるファミレスの方角を指差しながら 小瀧くんは首を傾げた
「い、いくっ!」
小「っしゃ、決まり」
小瀧くんは 目を少し細めて笑った後 抱えていたヘルメットをかぶりながら バイクの方へと歩いて行った
.
1870人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
びょん - 胸が痛い… (2018年11月24日 0時) (レス) id: c3f9488cbd (このIDを非表示/違反報告)
OOO2126(プロフ) - キュンキュンを通り越してギュンギュンした(イミフ)バイク二人乗りは死んだ、何回も読んでます!続編か、小瀧長編読みたいです\(^o^)/ (2018年2月24日 6時) (レス) id: 2cffad585b (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - あ、チャラひろさんのここに書いてしまいごめんなさい。何か盛り上がって書いちゃいました。昨日の夜、他の作者さんがゆこさんのお話薦めているので知ってハマってしまい一気読みしてます!どの濱ちゃんも溜まらんです!ゆこさんに出逢えてよかった!大好きです! (2017年10月18日 14時) (携帯から) (レス) id: b00addc009 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - プライベッターの読みました!ヤバかったです!まだ、本編も読了してへんのに…でチャラひろのバレンタインの個人的にヤバイツボでホントん゛ー!ってなりなから足バタバタする位濱ちゃん可愛いっ!ご馳走様でした! (2017年10月18日 14時) (携帯から) (レス) id: b00addc009 (このIDを非表示/違反報告)
ゆこ(プロフ) - サミさん» コメントありがとうございます。私の作品でニヤけてるなんて、嬉しいです…これからもサミさんをニヤけさせられるように頑張りたいです…! (2016年10月27日 10時) (レス) id: cf443e0b0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆこ | 作成日時:2016年10月7日 17時