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「作り過ぎたからあげるね!…うーん…シフト書くついでに…えーっと…」




時刻は 23時前





バイト先に自転車で向かいながら 話す言葉を考えていた

もちろん カゴにはいくつかクッキーが入っていて、ペダルを漕ぐ度にカチャカチャと音を立てている




でも結局 話す言葉も完璧に考えられていないまま、バイト先であるレストランが見えて来た




「ま、テキトーでいっか。大丈夫大丈夫」



とかなんとか言いながらも 実は心の奥はドキドキしていた





あっという間に駐輪場に着き、自転車を停め、クッキーをカゴから取り 裏口へと向かう



裏口へ向かってゆっくり歩くと、急にドアが開き、店の中の光が漏れた




「おっ…!」



中から出てきたのは 背が高い男の人
逆光で影になっているけど、シルエットで誰かすぐにわかってしまう



久しぶりに小瀧くんの姿を見た



ゴミ捨てをしに来たのか、手には大きなゴミ袋を持っていた








小「お前…」



バタン、とドアが閉まると同時に 私の存在に気付いたのか 小瀧くんはこっちを見て 立ち止まっている




「お久しぶり…です…」


小「何しにきたん…?」


「えっと、あの、シフト作り過ぎた…じゃなくてクッキー書きに、でもないや、あれ…なんだっけ、その…」



あまりにも急に出て来てしまったため、さっきまで考えていた言い訳が頭の中でぐちゃぐちゃになってしまう




「ハロウィンだからさ、えっと、クッキーを…と思いまして…」



考えた言い訳はどこへやら

結局普通のことを詰まりながら言って、小瀧くんの前まで歩き、クッキーを差し出した




「どうぞ、お召し上がりください…」



はい、と差し出すと 小瀧くんはゴミ袋を置いて しばらくじーっと見つめている




「はやく受け取ってよ…恥ずかしいじゃん…」




ほら、はやく、と急かすように押し付けると
黙ったまま 小瀧くんはクッキーを持つ私の手ごとギュッと掴んだ




そしてそのまま勢いよく引っ張られ





いつの間にか私は 小瀧くんの香りに包まれていた




「ちょいちょいちょい…!」



背中に回された手
私の首元に埋められた小瀧くんの顔

抱きしめられている、とわかるには時間がかからなかった





「ねぇ、なに、ちょっと、」




慌てて背中をトントンと叩いても
小瀧くんは何も言わないでいる





その後も腕は緩められることなく、
どんどんと抱きしめる強さは大きくなっていった




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びょん - 胸が痛い… (2018年11月24日 0時) (レス) id: c3f9488cbd (このIDを非表示/違反報告)
OOO2126(プロフ) - キュンキュンを通り越してギュンギュンした(イミフ)バイク二人乗りは死んだ、何回も読んでます!続編か、小瀧長編読みたいです\(^o^)/ (2018年2月24日 6時) (レス) id: 2cffad585b (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - あ、チャラひろさんのここに書いてしまいごめんなさい。何か盛り上がって書いちゃいました。昨日の夜、他の作者さんがゆこさんのお話薦めているので知ってハマってしまい一気読みしてます!どの濱ちゃんも溜まらんです!ゆこさんに出逢えてよかった!大好きです! (2017年10月18日 14時) (携帯から) (レス) id: b00addc009 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - プライベッターの読みました!ヤバかったです!まだ、本編も読了してへんのに…でチャラひろのバレンタインの個人的にヤバイツボでホントん゛ー!ってなりなから足バタバタする位濱ちゃん可愛いっ!ご馳走様でした! (2017年10月18日 14時) (携帯から) (レス) id: b00addc009 (このIDを非表示/違反報告)
ゆこ(プロフ) - サミさん» コメントありがとうございます。私の作品でニヤけてるなんて、嬉しいです…これからもサミさんをニヤけさせられるように頑張りたいです…! (2016年10月27日 10時) (レス) id: cf443e0b0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆこ | 作成日時:2016年10月7日 17時

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