水柱と炎柱と霞柱と情柱 2

心配する者　一人(冨岡義勇) ページ15

〜義勇side〜




Aが眠り続け、5日が経った



2日間に渡った任務が終わり



俺はすぐに蝶屋敷へ向かった



別に治療をするためではない



Aの病室に行くためだ



Aが目覚めているかもしれない…



という淡い期待を抱いて





ｶﾞﾗｶﾞﾗ



義「………A」



ベットで規則正しく



息をしながら眠り続けるAを呼ぶ



もちろん、返事は返ってこなかった



ｷﾞｭｳと、胸が締め付けられる



義「………お前まで、行ってしまうのか」



眠り続けるAに問う



義「…最終選別のあの日、お前は言ったはずだ」



『私はいなくならないよ』と



錆兎を助けれなかった、後悔と悲しみで



押し潰れそうになったあの日



Aは確かに言ったのだ



それなのに



どうしてなんだ…



義「お前まで…俺から離れて行かないくれ…！」



義勇の頬に一つの滴が流れる



その涙は、止まることを知らず



溢れ続けた



姉を亡くし、友を亡くし



今度は、自分が好いている人を



鬼に奪われる



守ることができなかった



もう、大切な人を鬼に奪われないために



己を鍛え



柱になったというのに








俺はまた、なくしてしまうのだろうか









真っ白で、綺麗なベットのシーツに









ポツリ、ポツリと滴が落ちては消える









どこまでも、静かな病室に







誰かが声を殺して泣く音が








いつまでも、響いていた＿＿＿






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