【文スト】生まれ変わって、これからも【太宰治】

高校生活九十四日目 ページ13

しかし、突然夢は姿を変えた


今度は頭の中の映像ではない

実際に私が見ている状態だった



少し肌寒い風

燃えるような夕日

着たこともない服装

そしてなにより、右手に感じる暖かい体温


私はそれを知っていた

そして、この光景を見て今


ピースは確実なものになった


何故、思い出せなかったんだろう



こんなに大切なことだったのに

こんなにも、焦がれていたのに


自然と、涙があふれる


もう、何度も見た光景だ

でも、これが最後になるだろう



私は静かに傍にいる私の大好きな人の顔を見る


現実の彼とは違い、少し大人びた顔立ちで、包帯の量も多い


普通の人なら、あまり近寄りたくないような、変わった人


でもね、これが私の唯一愛した人


前世で一緒に死ぬことを誓った人



ねえ、思い出したよ


やっと、思い出せたよ



貴「………治」



今度は現実の世界で会おうね








夢の中で、私は最後に治と身を投げた

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