【wrwrd!】パパと皆【tn】 (ページ10)

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「出来た！」

「できた！」

食堂の長い机に並べられた12人分のオムライス

そして、オムライスだけでは物足りないと、トントンが後で付け足したスープが、それぞれについていた

トントンの手によって、絶妙にふわふわしている卵の上には、Aがケチャップを乗せた

その匂いにつられてか、幹部達は次々に部屋へと入ってくる

「うわっ！めっちゃええ匂いやん！」

「おー、今日はオムライスなんやね」

「Aが来たからやろなあ
オムライスとか、めっちゃ久しぶりに食べるわ」

各々が、夜ご飯について様々な感想を述べながら席につく
時計を見ると、7時10分
いつもよりは少し早く集まっただろうか

これも、Aのお陰かもな

と、トントンはAを見て微笑んだ

いつもは誰かが遅くて、待ちきれずそれぞれで食べていた夕食も
今夜は全員揃って食べ始めた

あちこちから美味しいという声が飛び交い、いつものように騒がしい食事風景が生まれる

いつもは手のつけれない彼らに呆れながら食事をするトントンも、今日ばかりはその騒がしさが有難かった

横に座って、まだ熱いオムライスを冷ましつつ口に運ぶAは、俺からの視線を感じると、首を傾けながら微笑んだ

「どーしたの？」

「んー？なんでもない
Aは、こんな騒がしい俺らのことどう思ってる？」

それは、全く意図のない純粋な疑問であった

自分のことをパパと慕い、自己紹介の時にも、すぐにみんなと打ち解けあっていた

悪い印象は持たれていないはずだとは思っていたが、Aの口から、真実を聞きたかった

「私ね、こんなに楽しいの初めてなんだ！

だからね、パパも皆も大好き！」

初めて…か

彼はその言葉に引っかかるものがあった

先程から何回か感じていたが…いや、出会った時から既に感じていた
彼女は少なくとも普通の家庭環境下で育ってはいなかったのだろう

少し、彼女のことを調べる必要がある

彼は複雑な心境を顔には出さないようにして
Aの頭を優しく撫でた

「そっか。パパもAのこと、大好きやからな」

頭を撫でる自分の腕をつかんで、恥ずかしそうに笑うAが、今はただとても愛おしかった