起立性調節障害JKの1日【実話】#オリジナル

#6 ページ10

そこからは早かった

医者はすぐに治ると言い、私に血圧をあげる薬を処方した



その薬こそが私を地獄の底に叩きつけるなんてそのときは想像もしなかった




薬は"アメジニウム"という名前だ

前提として伝えておきたいけれど、私と同じように起立性調節障害を患っていたとしてもこの薬が合う人と合わない人がいるということ

そして私は合わない側の人間だったということ

合う人からすると朝起き上がるためのマストアイテムで必要不可欠ということ



アメジニウムは白く小さい錠剤の薬で

主に血圧を上げる効能を持つため、低血圧症等の治療に使われるお薬だそうだ


これは人によるからあくまで個人の感想だけれど
1日2回 朝夕での服用ですら副作用等が頻発する

そんなお薬だ








「……病名、分かってよかったね」






無言でハンドルを握る母の表情が陰って見えて

私はどうしてかそんな言葉を発した









「そうだね。

あんたは繊細な子がなるような病気にばかりなるね
春で気を張りすぎるのかな」




そう母がいうには理由があった


私は２年前、中学3年生の春
クラスの集団に上手く適応出来ずストレスで



"左顔面神経麻痺"を引き起こしたのだ



これはその名の通り、左半分の顔の神経が麻痺を起こし動かなくなる病だ



勘違いして欲しくないのは必ずしもストレスが原因でなる病ではないこと


あまり解明が進んでいなくて

原因が分からない事が多いのがこの病気で私自身もストレスで、というのは一種の仮説に過ぎない




でもその時も両親に原因を言うことはなかった


両親の言う、昔から社交的で明るくて能天気で誰とでも仲良くなれる子だ、という言葉が嬉しかったから


だからそうじゃない私を両親に見せたくなくてクラスで苦しかったことは言えなかった





ううん、そうじゃない

ただ言いたくなかっただけ

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す