中性的だと損しかしないんだけど【刀剣乱舞】

15 ページ15

手を払われた女は叫び声をあげた。そりゃそうだよな。何せ三日月様が鞘から刀を抜いた状態で手を払ったんだから。


差し出していた女の掌にはざっくりと斬られた跡があり、止めどなく鮮血が流れ出していた。うわ、ざまぁ。


「何するのよ！！審神者に刀剣が手をあげるなんて！」


「手加減してやっただけ感謝するがいい。次無駄口を叩けば容赦なくその首をはねてやろう。お前の大好きな三日月宗近の手によって、な」


三日月様はあの女の血が本体にベッタリとついたのが嫌だったのか。しきりに本体を拭いていた。まぁあの女の返り血がついて嬉しく思うやつは相当な物好きとしか言えねぇがな。


「...っ、あんたみたいなたかが一振なんてすぐに刀解してやるわ」


『私がいる間はそんなことはできませんよ』


三日月様においしいとこ全部もっていかれちゃなんか悔しいから取り合えず何か言っとこ。別に警戒されてもそんなの許容範囲内にすぎないし？？むしろ乗っ取りなんて人生でそんなに体験できることじゃねぇからな！
　

「男だと侮った私がいけなかったわ。いくらあんたが男だと言ってもその中性的な見た目でいくらでも刀剣をたぶらかせるものね」


ふん、と言うだけ言って去ってったな。あの深手の傷じゃしばらくは動けないだろ。それに三日月様の正体がバレたってことは彼を本丸に連れ出せるようになったということか。ラッキー！


「随分な物言いだったが大丈夫か？」


『これくらいなら私の方が審神者より上ですよ。それよりも三日月様は怒らせると怖いですね？』


「はっはっは、何、少し厳しめに言っただけだ。俺も本気で怒ったことがないからな。どうなるかは自分ですら検討がつかぬ。...主といる限りは大丈夫だろう」


...この本丸のラスボスって審神者じゃなくてこの三日月様じゃね？

16→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す