9 ページ9
＊＊
『佐野さん！いらっしゃいませ』
1週間ぶりに訪れた佐野さん。目の下の隈は全然消えそうにない。
『あの、実は洋食プレートをメニューに加えてみたんです』
洋食プレートと言っても、要は大人でも頼めるお子様ランチだ。
じゃあそれにする、と言いながら席に着く佐野さん。
『そういえば、最近三途さんとお会いしてないんですけど、お仕事忙しいんですか？』
「…三途が気になんの？」
『気になるというか、心配というか…』
「…」
佐野さんは頬杖をついて、黙ってこちらを見つめてきた。なんだろう、と首を傾げると佐野さんはふっと笑った。
「…伝えとく」
『あ、いや、元気だったらそれで大丈夫ですよ』
忙しい中お店に顔を出す、なんて気を使わせてしまうのも申し訳ないので、と付け足すと佐野さんはすぐに大丈夫と答えた。
「あいつなら明日にでも来ると思う」
『え、』
明日？？そんなすぐに？と驚いて料理していた手が止まる。それを見た佐野さんは早く、とでも言うようにまた見つめてきたので私も慌てて料理を再開する。
『お味、どうですか？』
「うまい。…けど、これ何？」
オムライスを頬張る佐野さんが、オムライスに刺さっていた旗をくるくるとまわす。
この前のファミレスのオムライスに刺さっていたから、とも言えず笑って誤魔化す。
『その旗の絵、私が書いたんです。』
手作りなんですよ、と言うと佐野さんはふーんと言いながら絵をじっくりと眺め始めた。なんだか、恥ずかしい。そんなに絵が上手いわけではないし、そこまでじっくり見られるとは思っていなかった。
「…俺？」
視線を旗から私へと移した佐野さんの瞳はどこか嬉しそうに見えた。佐野さんの言うとおり、旗の表には佐野さんの絵が描いてあり、裏には「素敵なことがありますように」とにこちゃんマーク付きで書かれている。佐野さんなら絶対に注文してくれると思って準備したのだ。
『正解です、』
やっぱり子供っぽかったかなと思うと少し恥ずかしくて、照れくさくて、顔に少し熱が集まるのを感じた。
佐野さんはまた旗を見ては、くるくるとまわして、時々浮かべる何かを懐かしむような、寂しそうな表情をした。
＊＊
更新かなり遅くなってしまってすみません。
春休みに入ったので定期的に更新していきたいなと思ってます！
単行本で読んでるのであまり詳しいことは分かってませんが本誌の春千夜やばそうですね、、本誌と内容ずれてたらそっと教えてください
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華月 - 料理系大好きですｯｯ！！これからも頑張ってください！！応援してま〜す！＼(^o^)／ (2022年5月3日 17時) (
レス) @page9 id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年11月5日 5時) (レス) @page6 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 夢主ちゃんのお店、普通に繁盛しそう((( (2021年10月16日 10時) (レス) @page4 id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
小川優(プロフ) - 暖かくって癒しかんがある…! 更新楽しみにしてます！！ (2021年10月10日 16時) (レス) @page2 id: 1ba1957d47 (このIDを非表示/違反報告)
できれば自分で死にたいねこ - 好うううううううううううううううううき❤ (2021年10月9日 23時) (レス) @page2 id: 60f0d95172 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚 | 作成日時：2021年10月9日 13時
