【wrwrd】実況してたら新メンバーが入りました。【合作】 (ページ34)

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第28話《染谷亜生》ページ34

一度自宅へ戻るという紬を見送り、リビングには動画編集に追われる霊符を除いた4人が残った。

「さて巻いてやるべ。」

いつの間にかマスクにゴム手袋を装着した亜生に、たまたま一番近くにいた采華にバケツを渡す。

「なんすかこれ？」
「雑巾が入ったバケツ。俺と黒鵺は粗大ゴミ運ぶから采華はこれに水入れて拭き掃除して。」
「ちょ、いまの季節的に雑巾がけは指に多大なる負荷が…」

1月に入ってから一部地域では既に雪が降っていた。水道水にちょんと触れると指先が冷たいを超えてもはや痛い。
采華と同様に黒鵺も「力仕事なんてやってられない」と今にも文句を言いたそうな顔である。

「…あ～～そ、別に掃除したくないならしなくてもいいよ。
あの汚い部屋に紬さんを住まわせたいなら無理に参加しなくてもさ。俺も疲れてるし、本当は大掃除なんてやりたくないし。」

そんな2人の視線を感じ取った亜生はゴム手袋を外してソファーに腰を下ろしてスマホを取り出す。

(あっ……これヤバいやつかも。)

マスクをしているせいで分かりづらいが、眉をひそめてテンションが急降下した亜生は怒っている。
いち早く疲れて不機嫌な亜生に気付いた涼杏が声をだいにして叫んだ。

「い、嫌じゃないよね！？采華もホラ！私が代わりに拭き掃除するから掃き掃除しよ！！ねッ！？」
「お、おん。」
「黒鵺も自分の物だったのも沢山置いてあるんでしょ。それだけでも捨ててきなよ！」
「うっす…」

普段は大人しい涼杏の凄まじい気迫で2人に有無を言わせない。まだ乗り気ではない采華と黒鵺を先に進めておくようにとリビングから退室させ、新たな問題に目を配る。

残されたご機嫌ななめの爬虫類系実況者が静かにスマホを弄っていた。

「あ…亜生？
ごめんね。亜生が疲れてることに気付けなくて。」

しんとしたリビングに涼杏の声はよく通る。スマホをいじる手を止めて亜生も苦虫を噛み潰したような顔で向き合う。

「いや…俺もごめん。また俺の悪いとこ出ちゃってたわ。すぐ掃除始めるから涼杏も采華んとこ行って手伝ってやって。」
「そう…？あんまり無理しないでね。」

まだ不安そうに顔色を伺う涼杏は「まだ休憩してていいよ」と念押しして部屋を後にした。

昔から物事が上手く進まないと投げやりにしてしまう悪い癖は直そうにもなかなか難しい。

(反省はあとだ、今は黒鵺の手伝いにいくか…。)