仮面舞踏会のお姫様 [まふまふ/天月] (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:6,002 hit

仮面が三枚ページ5

「もーう！まふ君ばっかり！俺とも踊ってよ！」

翔太はそう言って、Aの手をぎゅっと握った。

「はい」

Aが二つ返事で返事をすると、翔太は嬉しそうに笑う。
そして、一つ指をパチンと鳴らすと、先程のおっとりとした音楽から激しい音楽へと変わる。

Aは先程とは全く違う音楽、踊りに困惑しながらも頑張って足を動かす。

激しい曲から、おっとりとした曲へ。
曲の速さがどんどん変化していく。

それに合わせてステップをしていく翔太とA。

曲の終わり、翔太は足を止め、口元が見えるように仮面を上にずらす。
そして、持っていたAの手を恋人繋ぎに代え、Aの顔にぐっと近づいた。

「ｯ～！」

翔太は自分のソレを、Aのプルプルとした唇に合わせた。
皆が言う口付け(キス)だ。

Aは、頬を真っ赤に染め上げる。

一方翔太は、自分の唇に親指を当て、しちゃった…と小さく呟いた。

「ちょちょちょっと！」

真冬は、翔太とAの間に割り込む。
そして、頬を赤く染め、ボーとしているAの肩をギュッと抱く。

「何やってんの！？天月君は！初対面の人にキスしちゃダメでしょ！」

Aを守るように、Aの前に立つ。
Aは真冬の後ろで、まだ頭が回らないのかボーとしている。

「ｯ！？」

頭が回り始めたのか、大きく目を見開く。
そして、更にタコかと言う程に頬を染め上げる。

はくはくと金魚の様に、口を動かすA。

言葉になっていない事に、翔太はぷっと吹き出す。

「ふ…言葉になってないよ、Aちゃん」

Aは、笑い事じゃないと言いたかったが、思うように言葉が出てくれない。
ふるふると、翔太の方に指を向ける。

「は、初めてのキス…」

声が震え、思い通りに声が出ない。
真冬は、頬を膨らませ、むぅとした。

「天月君ばっかずるい」

まるで小さな子供が、おもちゃを取られたような顔(表情)をした真冬。
そして、Aの腕を掴んでいる翔太に負けじと、ぐっと引っ張る。

Aは、バランスが崩れ真冬の胸に飛び込むような形になる。

思わず、ビックリし、顔を上にあげるA。
すると、まるでそれを狙っていたかのように唇を合わせる。

真冬は、名残惜しそうに唇を離した。
すると、チュッと可愛らしいリップ音が鳴った。