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でも、元気がない照史くんを見て悲しむ母の姿は見たくなかった。
なら照史くんが猫を被っているのはそれもそれで良かったのではないか。
｢ほんと男前になったのね〜！｣
｢いやいやそんなことないですよぉ〜笑｣
｢………っ、、｣
｢Aから電話で話しは聞いてたんだけどね〜？
あんまりこの子、話したがらないのよ〜笑｣
｢………っちょっとお母さん！｣
｢あら、いいじゃない。ちょっとくらい｣
｢そうなんすね笑！
……まぁ、付き合って結構立つんで全然気にしてないですよぉ？笑｣
そう昔みたいにアヒル口して話す照史くん。
私からしたら自分が言うなって話。
｢…ほんと照史くんは優しいのね！｣
｢いえいえ〜笑笑｣
｢…………っ、、はぁー、｣
お母さんは久しぶりに私と会えたというのに、照史くんそっちのけだし、こんな時に父は魚釣りに出かけたらしい。
まさか私の性格はここから来ているのだろうか。
｢あ！そうだ！｣
｢ん？｣
｢もうすぐ親戚の人たちも集まると思うわぁ〜！
11時半って言ってあるのよ。｣
｢……あ〜、もうすぐだね｣
｢ほぉ〜！？｣
｢あ、お母さん！
手伝いますよ！｣
｢え？！いいの！？
ほんとうにお客さんなのにありがとね〜笑笑｣
｢……私も手伝う｣
｢あ、そうそう！もうすぐのんちゃんも来るのよ！｣
｢………えっ、あ、そうだ、｣
｢やだそんな顔しないでよ〜！｣
｢………いやー、、笑｣
そういえば、のんちゃんこっち戻ってきてたんだ。
先週喧嘩別れしたことを忘れていて今更気まづくなってしまう。
もちろん母には言ってないので知ってるのは私含め照史くんだけだし。
｢会うの久しぶりなんでしょー？
楽しみにしてたわよ〜？笑｣
｢え？のんちゃんが？｣
｢ええ。
あの子ねぇ。Aが上京してからもしょっちゅううちに遊びに来るのよ〜笑｣
｢………っ、、｣
電話で何となく話してて知ってはいたけど、それを彼の前であんまり言わないで欲しい。
｢…なんか、あいつ犬みたいっすよね！笑｣
｢そうそう！それが可愛くてね〜笑笑
ついついご飯食べさせていっちゃうのよ笑
まぁ、孫みたいなもんね！｣
｢はっはっ笑笑笑｣
なに2人で笑ってんの。
私がのんちゃんに会うのを気まづくて仕方がないということも知らずに。
｢今日泊まるんでしょ〜？
夕方、2人で海にでも散歩しに行ったら？｣
｢…………っ、｣
｢……っ、、｣
母は黙る私たちを不思議そうに見つめていた。
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作者名：また。 | 作成日時：2021年9月26日 1時
