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空っぽ ページ10

彼に会うまで、私は「空っぽ」だった



両親との仲も良好とは言えず、転勤族で自分から声をかけるのも苦手だったから友達なんていなかった



…「楽しい」も「嬉しい」も「悲しい」も………「好き」も。全部彼が教えてくれたの



……だけど、もうそれも全部忘れちゃった



あの頃には戻れない



戻らない







「サクラ、それ欲しいの?」



『え?あ、ううん。…ただ、見てただけ』



「サクラって何が欲しいとか何が好きとかあんまり言わないよな。もうすぐ誕生日だろ、欲しいもの考えててよ」



『!覚えててくれたんだ』



「当たり前だろ?大切なお前の誕生日なんだから。当日は予定あんの?」



『うん、お母さんとご飯に行こうって話してて』



「はーっ、ほんとお前は親孝行者だな。じゃあ、俺はその前後で会いに行くよ」



『本当?嬉しい!一緒に過ごせるだけで十分だからね?プレゼントなんて気にしなくて大丈夫!』



「遠慮すんなって。ほしいもの書いてまた送ること!いいな?」



『…うん!ありがとう!!』



物、増えて困るんだよ



…ご飯行きたいとか言っとけばいいか



『じゃあまたね!』



「おう」



ズキッ『っ…』



あーもう、頭痛い



最近寝れてないし……もう今日は早く寝よう。…メイク落とすのもお風呂に入るのもめんどくさい



…何で私、ずっとこんなことやってるんだろう



『……』ブンブンッ



私がやらなきゃいけない



…これが一番稼げるんだから



たまに来るこの嫌悪感でなぜ自分が生きてるのか分からなくなる



私は



ブーッブーッ『…!』




康二また会って話しがしたいんやけど予定どんな!?もし会うのが嫌やったら電話でもいいんやけど…!!




『………何で、私なんかに』



【一つだけ言える事実は、俺はAちゃんと別れてから女の子と付き合ったことも触れ合ったこともないってことやねん】



思い出すな



…当たり前じゃん。アイドルなんだから女の子に触れるわけないでしょ



喜ぶな



自惚れるな



……私は捨てられた



こーじ



助けを求めようとするんじゃない






「桜庭さん、娘さんが着替え持ってきてくれましたよ〜それと、お金も預かってますからね!」



「………私に娘なんていないわ」

恐怖→←優しさ



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作者名:しらぬい | 作成日時:2023年8月1日 11時

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