50通の恋文【萩原研二】

恋文18 ページ23

体育祭当日。
空は吸い込まれそうなほどキレイな水色の快晴。
グラウンドは1年生が玉入れをしている。次の次の種目が私たちが出る二人三脚だ。
相方が超行列のお手洗いに行っているので私は一人お手洗いの近くの壁にもたれて待っている所。

「あ、今のうちに……」

体操服のポケットに入れていた手紙を取り出す。朝、萩原くんから貰って読もうと思っていたんだけど時間が無くて読めてなかったんだよね。
萩原くんとの手紙も折り返しの25通目。あと半分…。
25日後……。

いや、今考えたって仕方ないよね。

取りあえず読もう、と手紙を開ける。
そして、見慣れた少し濃いめの大きな文字を私は目で追うのだった。


『Aちゃんへ。25通目！そして体育祭本番だね。俺はAちゃんにカッコイイ所見せれるかもしれないと今からソワソワしています。頑張るからさ、応援してほしいな！俺も二人三脚全力で応援する！お互い頑張ろ！！好きだよ。萩原研二』

フッと笑顔がこぼれる。でも1人で笑ってるのは流石に変な人だから急いで表情を元に戻す。
萩原くんはいつもかっこいいじゃん。
本人には内緒だけどね。
応援するって手紙に書いてくれてるし、萩原くんの事だ、本当に応援してくれるだろう。
頑張ろ。
手紙をキチンと封筒の中に入れる。相方が戻ってきたらきちんとカバンにしまおう。

萩原くんの出る種目は2つとも午後からだからお昼休みにロッカーにあるレターセットを持ってきて書こう。
どんな返事を書こうか相方が戻ってくるまで私はずっと考えていたのだった。

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