恋文14 ページ19
「二人三脚に出るんだね、Aちゃん」
図書館のカウンター近くの椅子に座りながら萩原くんが答える。風は冷たいけどまだ暑い夕方の日差しが萩原くんの頬を朱に染めていた。
「うん。萩原くんはリレーと障害物競走でしょ？」
運動のできる萩原くんはクラスの要で、1位2位を争うぐらい盛り上がる2種目両方に参加することになってた。
整った顔立ちでスポーツもできるとかスーパーマンじゃん。
女の子にモテモテなのも分かるかも……。付き合ってもすぐに別れちゃうけどね。
あ……なんか……胸が痛い……？なんだろう……言葉にできないこの感じ……。
「そうそう。2つ出るから〜……って、どうしたの？」
「へ……？」
立ち上がって萩原くんが近づいてくる。そして、私に手を伸ばす。
待って。なんか手の位置高いって！！
目元に伸びる手に反射で目をつぶる。すると、目の下……頬骨の近くを撫でる感覚。
「なんか……悲しそうな顔してた」
恐る恐る目を開けると、しゅんとした顔の萩原くんが私の頬を撫でていた。
暑い。秋なのに。また夏が戻ってきたみたいだ。萩原くんの頬を染めている朱はきっと私の頬も、全身も染めている。じゃないと、こんなに暑いはずがない。
「は、ぎわらくん」
「嫌なことあるなら、俺に言ってよ。俺にできることならなんでもするから」
「……そもそも悲しい顔なんて……したつもりなかったんだけど……」
目をそらして言うと、そっか。ならよかった、と本当にホッとした声で言われた。
そして……。
「………ちょっと待って！？」
バッと離れる手。頬にはまだ萩原くんが撫でていた感覚が残っている。
「どうしたの？」
「え？あ、さっきの！他意はないから！それこそ、嫌な思いさせたらごめんなさい！！」
無意識だったのか……。今の今まで気づいてなかったのは面白すぎる。
そう思うとジワジワと笑いがこみあげてくる。口角が上がって、フフっと笑ってしまった。
「大丈夫だよ。むしろ、心配してくれてありがとう」
よかった〜と言う萩原くん。そして楽しそうに笑い出した。
「セクハラで訴えられたらどうしようとか割と本気で悩んだ〜！ほんっとによかった〜！好きな子にこれが理由で嫌われるとか辛いもん」
「嫌いになんて、ならないよ」
だって、萩原くんのいい所沢山知ってるから、ちょっと嫌なことあっても嫌いにならないよ。
言わなかった内緒の言葉は茜色の空に溶けていった。
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夜船と北窓 - この作品好きすぎて一気に読んでしまいました。出来ることならまた更新を再開して欲しいです。萩原さんめっちゃ好きなんです！ (2021年5月4日 3時) (
レス) id: 76d34d17f2 (このIDを非表示/違反報告)
悠乃(プロフ) - 青木柚里奈さん» お返事遅くなってしまいすみません！嬉しい感想ありがとうございました(*^^*) (2020年11月6日 17時) (レス) id: b7a9621ba5 (このIDを非表示/違反報告)
青木柚里奈(プロフ) - あー！最高！続き楽しみにしていますぅぅう！！ (2020年6月11日 2時) (レス) id: aecf756759 (このIDを非表示/違反報告)
悠乃(プロフ) - 和美/美香さん» コメントありがとうございます。もしもの話も気に入って頂けて良かったです(*^^*)続きも楽しんで読んでいただけると嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年11月27日 11時) (レス) id: b7a9621ba5 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - もしもの話めっちゃ好きになった！こっちも読みながら冷や汗します。続き頑張ってください。 (2019年11月12日 12時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠乃 | 作成日時：2018年9月10日 1時
