50通の恋文【萩原研二】

はじまり ページ1

「好きです。付き合ってください」

秋の少し冷たい風と夕日の光が入ってくる教室の中、萩原研二くんに告白された。
でも……。

「……ごめんなさい」

腰を曲げて丁重に断る。

「え……なんで？付き合ってる人いないでしょ？」

「いないよ。でも、萩原くん彼女変えるの早いじゃん。付き合ってすぐ捨てられるのはイヤ」

萩原くんは常に彼女がいる。でも１ヶ月くらいですぐに彼女が変わっている。それを知っていると別れる前提で付き合おうとは思わない。

「いや！今までは否定できないけど、捨てないよ？本気だから」

「……今までそう言って捨てて……？」

「こんな事ほかの子に言ったことない！」

「それはそれでどうなんだろ……。でも信じれないかなぁ……」

「信じて貰えるならなんでもする」

この通り！と90度に腰を曲げて拝んでくる。
断りにくいじゃん……。でもなぁ……。

「……あ、じゃあさ」

「なに？」

「50日。毎日ラブレターちょうだい。あ、スマホで送るのダメね。直筆。できたら、信じて付き合う。どう？」

面倒くさいでしょ。無理ですって他の子に告りなよ。

「いいよ。明日からでいい？」

「え？う、ん……？」

本気で？50日だよ？それまで誰とも付き合えないよ？

「本当にいいの？50日の間毎日だよ？」

「それで信じて付き合って貰えるなら。俺が本命には一途なとこちゃんと見ててよ」

じゃあまた明日ね。と帰っていく萩原くん。
私はしばらく呆然としていた。
え？まじで？









これが50通のラブレターの始まり。

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