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恋文10 ページ14

聞けなかった…。

放課後、図書館のカウンターでガックリする。弱虫すぎる…。私以外いない図書館はきっとどんよりしているだろう。

何か怒らせるようなことをしてしまったなら謝らなきゃいけないのに…。

「萩原くん…言ってくれなきゃ分かんないよ…」

呟いた瞬間、扉の開く音がした。独り言、聞かれていませんように!!

入ってきた人はなんと萩原くんだった。
わ〜…どうしよう…。

「あれ?Aちゃん一人?」

「一人。先生は生徒に呼び出されて出張中」

「そっか」

どこかほっとした顔をしてカウンター近くの椅子に座る萩原くん。

……聞いた方がいいよね…今二人だけだし…。
腹を括るしかない。

「萩原くん」

「ん?どしたの?」

「あの、さ……。今日。私、何か怒らせるようなことしたかな……」

「え……?」

「すっごい情けないけどなんで怒ってるか分かんなくて……」

ちょっとタンマ!と止められる。びっくりした顔をしている萩原くん。

「え?俺、怒ってたの?」

「違うの?あ、体調悪い?」

「すごく元気。多分さ……Aちゃん」

あー、と言いにくそうに目をそらす萩原くん。ずっと目が合わないのは少し寂しい。

「たぶん……ヤキモチやいてた……」

私の動きがピタリと停止する。
ヤキモチ……萩原くんが?

「う……あんまり言いたくないんだけど、松田と楽しそうに話してたの見たら何かモヤモヤして、目、合わせらんないし何か素っ気ない態度になっちゃったし……最悪じゃん……俺……」

項垂れる萩原くん。うぅ、と低めのうめき声が聞こえる。

「じゃあ、さ、怒ってない?」

「怒る理由がありません」

はぁーと息を吐き出す。

「よかったぁ……」

「不安な思いさせちゃってごめん……」

項垂れたまま上目遣いに私を見る萩原くん。ようやく目が合った。

「やっと目が合ったね」

「目、合わせたらモヤモヤを口に出しちゃいそうで合わせられなかった……」

「言いたいことあるなら言えばいいよ。嫌なことだったら言い返すし」

照れくさくて笑いながら言うとハア〜とまた項垂れる。そして……。

「……やっぱりAちゃんのこと好きだ……」

ボソリと呟いた。
普段なら聞こえないかもしれない声の大きさだが図書館には二人しかいない。バッチリ聞こえちゃうよね。

「な、なんでそうなるの!」

萩原くんはまっすぐに好きって言うから困る。

それから、ほぐれた雰囲気で二人でゆっくり話をした。もう、萩原くんが目をそらすことはなかった。

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夜船と北窓 - この作品好きすぎて一気に読んでしまいました。出来ることならまた更新を再開して欲しいです。萩原さんめっちゃ好きなんです! (2021年5月4日 3時) (レス) id: 76d34d17f2 (このIDを非表示/違反報告)
悠乃(プロフ) - 青木柚里奈さん» お返事遅くなってしまいすみません!嬉しい感想ありがとうございました(*^^*) (2020年11月6日 17時) (レス) id: b7a9621ba5 (このIDを非表示/違反報告)
青木柚里奈(プロフ) - あー!最高!続き楽しみにしていますぅぅう!! (2020年6月11日 2時) (レス) id: aecf756759 (このIDを非表示/違反報告)
悠乃(プロフ) - 和美/美香さん» コメントありがとうございます。もしもの話も気に入って頂けて良かったです(*^^*)続きも楽しんで読んでいただけると嬉しいです。ありがとうございます! (2019年11月27日 11時) (レス) id: b7a9621ba5 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - もしもの話めっちゃ好きになった!こっちも読みながら冷や汗します。続き頑張ってください。 (2019年11月12日 12時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠乃 | 作成日時:2018年9月10日 1時

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