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彼女の異能は絶大だ。特に、警察機関や公安からは喉から手が出るほど欲しいものだろう。
其れ故に此処で匿わなければならない。何時の日か、自分がこの少女の逆鱗に触れ、亡霊の囁きを聞きながら露と消えるとしても。
彼は理解していた。
「ねぇ、Aちゃん。君は楽しいかい?此処に居て、私の命令通りに動くことについて」
少女は顎に手を置いて脳を動かす。
やがて其の小さな口を開き、彼の問いかけに答えた。
「其れが自分の命ならば、やる以外の選択肢がない……から?」
「………ふふ、そうか。其れは良かった」
「……何が面白いんですか?」
「否、何でもないよ」
彼女の肉親を殺すように指先を動かしたのは自分の筈であるのに、少女はそれを知りながらも喜んで自分の駒として生きようとする。何とも皮肉な話だ。
生に執着がないのか、其れ共その類の感情が欠如してしまっているのか。
「私、貴方に感謝しているんです。私を否定する大人を殺してくれたから。
だから、これは其の恩返しなのかもしれません。」
ふわりと笑う少女の頬笑みには、未だ仄かな光が宿っていた。
彼は判っていた。これが只の恩返しでは無いことに。彼女が既に_____殺しを楽しむ者になっている事に。
彼は理解していた。
これが四年前の、少女の平凡な或日である。
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おとひび(プロフ) - A2A2さん» ありがとうございます!!楽しみにしています! (3月26日 16時) (レス) id: c954a091c2 (このIDを非表示/違反報告)
A2A2(プロフ) - おとひびさん» 私も貴方様のコメントを見てわっはっはって感じてす!!!!ありがとうございます!!その作品は私も気に入っているので、ぜひぜひ書き進めさせて頂きます! (3月26日 13時) (レス) id: fe3da03f44 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - ちょっと待ってください文章の書き方も表現の仕方もネタの思いつきも神ってますよぉ!?!?数話だけでも物凄く面白くてわっはっはって感じです!(? よければ「ハンムラビの誓文【文スト】」の続きを書いてほしいです…! (3月25日 23時) (レス) id: c954a091c2 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - サラミザラさん» 本当ですか‼ ありがとうございます! (2月20日 18時) (レス) id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - ルウさん» わー!!有難うございます_(._.)_。暇があるときに優先的に下書きを書き進めさせていただきます……!! (2月20日 18時) (レス) @page9 id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラミザラ | 作成日時:2024年2月18日 12時