8、不良信者 ページ10
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翌日、雲行きが怪しく湿った空気がなんとも鬱陶しい。
そんな鬱陶しさを忘れるほど、私の気分は晴れやかに高揚していた。
ここ数日の私は常にこんな気持ちである。
理由は言わずもがな、あの修道女さんのことだ。
昨日はあんなにも楽しく会話したし、彼女のことも少しは知ることができた。
今日も互いに人目を忍んで逢引することができるのだろうか。
否、逢引と思っているのは私だけかもしれないが。彼女にとっては私の自 殺を止めることが目的なのだろう。
「こんにちは、治くん。私が先に来たみたいだね」
「やぁ、今日もデートできそうで嬉しいなぁ。Aちゃん」
「違うから！きみを監視するためだから！」
先に橋梁に居たのは彼女だった。
嬉しくなってつい口角が上がってしまう。一人の女性が私を待ち焦がれていたこともそうだが、何よりそれが彼女というのがとても嬉しい。
可愛くて揶揄ってみると、飽きない反応が返ってくる。本当に愉快な子だ。
「わかってるよ。じゃあ私のこと、隣でちゃあんと監視しててね？」
「嫌な言い方しないでよ…！」
若干、邪険な目をしている彼女を横目に私は歩き出した。
すると彼女も慌てて隣に着いてくる。
それが嬉しくてつい微笑んで彼女を見ると、彼女は少し怒りっぽく頬を膨らませるのだった。
△▼△
「見て見て治くん！観覧車、こんなにも近いよ！」
監視とは一体何だったのだろう。
いつのまにか私が彼女を追いかける羽目になっている。
今日は街に行ってみようと、あの橋梁から距離から暫く歩いていた。すると高いビルや観覧車が見えた途端、彼女は目を輝かせて走り出したのだ。
そして今に至る。
横浜にある遊園地を前に、彼女は大層感嘆しているようだ。
「こんなに近くで見るのは初めてなの、とっても大きいんだね！」
「初めて？君はあの町外れの修道院に務めているのだろう？」
「まぁそうだけど…。修道女は、神様に祈りを捧げることに専念しなきゃいけないから、出かけることを制限されているの」
「へぇ…じゃあAちゃんは不良信者だねぇ」
“不良”という言葉をいやらしく微笑みながら放つと、彼女はあからさまにショックを受けて顔を青ざめた。
「ふ、不良ってほど遊んでないから…。お祈りもちゃんとしてるし…！
それに、君の愚行を止めることは神様の名の下にある行為よ！
だっ、だから大丈夫よ！」
「そっかぁ、それはよかった」
コロコロと表情が変わる彼女はいつでも見ていられるものだ。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです！そうですね…！修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね！ (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年11月9日 16時
