6、はたち ページ8
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「まったく!すぐ自 殺しようとするんだから!」
「君が来なかったら死のうとしてたよ〜。あははっ」
「なに笑ってんの!」
手すりから引き摺り下ろされた私は、彼女の膨れた顔に思わず安堵した。
本当に会えないものかと生死ごと諦めかけていた。
やはり彼女の怒る表情は幼く見えてとても可愛い。
身長差故の上目遣い、腰を手に当てて此方の表情を覗き込む姿勢、どの仕草も魅力的だ。
こんなことを考えているとかのロリコン首領が脳裏に過り、ふと我に帰りそうになるが、彼女は童顔なだけで子どもではない雰囲気が何処となくある。
私はあの人のような危うい趣味は持っていない。それに未だ年齢を知らないのだから、セーフだろう。セーフであってほしい。
「Aちゃんに会いたかったんだ。君のこと、もっと知りたくてね」
「私も、きみの愚行を止める為に事情聴取をしたかったところよ」
話の噛み合って無さが私にとっては逆に愉快だった。
△▼△
「…はたち?」
「そうだけど…。み、見えないかな。私ってそんなに子どもっぽいかな…」
彼女はそう言いながら、少し恥ずかしそうに自分の両頬を手で包んだ。
年齢を訊くと、驚くことに彼女は成人女性だった。てっきりあと2、3歳下くらいかと思っていた。
とはいえ、それは彼女の童顔を見ればの話だ。大きく強調された胸を見れば、20歳という事実には納得することができる。
心の底でそんな失礼なことを思いながら、そんなことないよ。と彼女を励ました。
「治くんはいくつなの?」
「22歳だよ。私の方が年上だったね」
さり気なく下の名前で私の名前を呼んだ彼女に思わず心臓が高鳴ったが、持ち前のポーカーフェイスで凌いだ。
男慣れしていなさそうな性格からなのだろうか。精神的な距離の詰め方が大胆だ。
そんな私の微かな戸惑いに彼女は気づく筈もなく話を続ける。
「年上だとか年下だなんて関係ない。
私は神様の名の下に、きみの愚行を説いて止めなければいけないんだから」
「それはそれは…、私も自 殺する甲斐があるものだ」
「する甲斐って何なの?!」
「こんなにも魅力的で可愛い修道女様が私のために体を張って説教してくれるのだろう?
自 殺を止められることは全く本望でないが、君が私の手を引いてくれるなら、私は何度でもこの川に身を投じよう」
「…ほっ、ほんと変な人!ていうか死のうとしないでよね!」
頬を赤く染め、初心な反応を見せる彼女はやはり可愛らしい。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです!そうですね…!修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね! (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2022年11月9日 16時