11、観覧車と君 ページ13
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雨が止んだ頃には、陽が落ちる時間になっていた。
橙色の夕日が雨粒を照らして光を反射させている光景は、憂鬱だった気分を晴れやかにさせるものだろう。
しかし、今はあの彼女の切ない横顔が頭から離れず、微かに心が曇る。
彼女のあの表情の訳には、とっくに察しがついていた。
「ねぇ治くん。最後にあれ乗ってみたいな」
彼女が指を差した先にあったのは、彼女が最初に興奮した様子で見ていたあの観覧車だった。
△▼△
「わぁ〜っ！すごいね！こんなに高いところ初めて！」
「今日のAちゃんは感動しっぱなしだねぇ。私も誘った甲斐があったよ」
えへへ、と彼女は照れているのを誤魔化すように笑った。
それを見るとなんだか先程の気分が晴れやかになるようで、とはいえあの横顔が脳裏に過り、また一人憂鬱になる。
向かい合って座る観覧車の一部屋の中で、沈みかけた陽の余韻を浴びているとより感傷に耽そうだ。
彼女はそれを知る由もなく、ただ高くなっていく外の景色を眺めた。
「あのね、治くん。今日は本当にありがとうね。
きみは自 殺という神に背くような愚行をするし、すぐ巫山戯るけど…。
私はきみのこと、結構好きだよ」
「それって告白？照れるなぁ〜、そんなストレートに言われると」
「ちっ、違う！！そういう意味じゃないの！！
これは…その、友達？みたいな、そんな感じだから…！」
彼女を少し揶揄ってみると、彼女は顔を真っ赤にしてなんとか誤解を解こうとあたふたと口を動かした。
そんな必死にならなくてもいいのに。わかってはいるが、逢引を数回繰り返してその反応は少し傷つくような、結局彼女は初々しくて可愛いような、そんな複雑な思いが巡る。
それがどうも可笑しくて、ふっと笑った私に彼女は諦めたように溜息を吐くと、気分を一転させるように外の景色を眺めながらぼそっと何かを呟いた。
その横顔には直近の既視感があった。
「私ね、孤児なんだ」
彼女の表情は、切なくて寂しいものだった。
先程の親子を見ていた横顔と同じで、遠くをぼんやりと見据えるように夕陽を眺めている。
光に照らされた彼女の横顔はより一層美しさを増して、少しだけ私を不安にさせた。
この夢現な光景に見惚れる彼女が、吸い込まれて消えてしまうのではないかと、いい大人ながらそう思ってしまう。
「うん、何となくわかっていたよ」
そういうと、彼女は安心したように優しく微笑んだ。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです！そうですね…！修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね！ (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年11月9日 16時
