18、顕現 ページ20
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透き通るような白のベールを纏い、同色に輝く髪はまるで天の川のようだった。
長いまつ毛の先には彼女らを静かに見下ろし、ゆらゆらと夢現に存在している。人の何倍の大きさもあり、その見た目は現実として考えにくいものだ。
確かに、彼女らの前には女神が現れた。
けれど何かが引っ掛かった。私の中に存在する力があれに引き寄せられている気がする。
それに、彼女の言っていた“生贄”とは一体_____。
「Aちゃんっ…?!」
こめかみに一筋の汗が流れた。
彼女は事切れたように倒れたのだ。それを一人の女性が優しく支え、老婆は心配そうに彼女を見つめる。
そして一旦無事を確認したかのように、老婆は彼女から離れて神と言われる存在に再び目を向けた。
そして跪き、乞い願うように語りかける。
あれに何を語りかけているのか、顔色の悪い彼女を心配して焦る気持ちを抑えて、老婆の唇を注視した。
『____どうか。どうか、我が子らの明日の為に糧を与えてください。
代わりに、“この子の記憶”を捧げます』
老婆は肩を震わせながら乞う。
神は彼女を一瞥してから目を瞑り、眩しい光に包まれて消えた。すると、消えた光の中からあらゆる食糧が現れる。
まるであの神が老婆の懇願に応じたかのようだった。
このあまりに現実的でない光景に、私は呆然としていることしかできなかった。
だがしかし、一つだけわかったことがある。
彼女が呼び寄せたものは、“神”ではないこと。
ひと目見てわかった。違和感の正体は私の胃能力による引力によるものだ。
あれは、彼女の“異能生命体”で間違いない。
彼女は異能力者だったのだ。
△▼△
あの一件の後、私は侵入を悟られないうちに急いで外に出た。
「んっ…しょ、よいしょっ、と…!」
「やっほ、お転婆修道女さん?」
「ぅええっ?!お、治くんっ?!なんでここに…!」
修道院の外で彼女を待っていると、その塀をよじ登る声が聞こえた。
そこからひょっこりと可愛い顔が見える。いつも通りの彼女に心の中で安堵した。
「なんでって…、君が遅かったから迎えに来たのだよ」
「お祈りが長く引いちゃって…_____、きゃあっ?!」
塀の上で此方側に体を寄せた彼女は、私の方によそ見をした拍子に落下してしまった。
何となくそうなる気がしていたが、敢えて注意しなかった。
「よっと…。無事かな?私のお姫様」
「へ、変な呼び方しないで!」
横抱きに受け止められた彼女は、私の腕の中で顔を赤くした。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです!そうですね…!修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね! (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2022年11月9日 16時