英雄悲話⓶ ページ33
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事件は犯人の死により、収束した。人質は全員無事だったという。
しかし、事はこれからだった。
冒頭に戻る。
俺は任務から久しく帰還すると、真っ先にあの悲痛な慟哭が耳を裂いた。
軍警本部前で慟哭を上げていたのは、犯人の母だった。
警備員に立ち入りを塞がれながら、息子の命を奪われたことに対する恨みと悲しみを嘆いていたのだ。
そして、あの事件の顛末を隊長から聞く。
「Aは…、今Aは何処に」
「…事件以来かなり気を落としていたそうじゃが、あの嘆きを聞いて顔を真っ青にして、逃げるように資料室に閉じ籠ってしまってな。
儂と��子君で様子を見に行ったが、怯え切っているようで、来ないでください。と一点張りだ」
隊長が曇った表情で、今はそっとしてやるしかない。と溜息混じりに呟く。
このようなことは犯罪を取り締まり、血生臭い事案に関係する軍人として、避けられないと言っても過言ではない。
犯罪を犯す側も、時に正義を掲げることもある。
否、誰もが自分の信じる正義で生きているのだ。
故に俺は必要であればこの身体に血を浴び、無辜の民を護る英雄として自身の正義を貫いてきた。
それが例え、誰かに恨まれようとも。
しかし、軍人としても精神的にも幼い彼女は、それを受け止めきれなかったらしい。
「今は…そっとしてやるしかない」
隊長に言われた言葉が何度も脳裏によぎりながら、俺は彼女が閉じ籠っているという資料室の周りを右往左往としていた。
俺は酷く迷っていた。
隊長の言ったことを信じるか、Aの様子を窺うか。
意中の彼女が心を蝕まれている状態を何とかしてやりたいと思いと、やはりそっとしておくのが最良なのかという葛藤がここ一番で頭を悩ませた。
今回のAのような境遇は体験したことがある。しかし、境遇を受けた人を上手く宥めた経験はない。
そして、暫くの間資料室の前をうろちょろしていたせいか、中にいる彼女が勘付くのも時間の問題だった。
「だれ！！来ないでくださいって言ってるじゃん！！」
「…すまない」
急に怒鳴られたものだから、つい謝ってしまった。
彼女が俺に対して敵意を向けたのことに、胸を痛めたのはここだけの話である。
Aの怒号は涙混じりの、声が上ずって掠れているような、聞くに耐えないものだった。
そして俺は決意する。
こんな彼女を放っておけないと、それこそ俺の掲げる正義に反すると。
心持ちを確かにし、扉のノブに手を掛けた。
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ラザニア太郎(プロフ) - ましろさん» 文スト4期おめでとうございます〜！声優さんも楽しみですし、猟犬以外にもあのキャラこのキャラのあんなシーンが見られるとずっとドキドキします…^ ^ 鐡腸さんも条野さんも��子さんも隊長も全部全部楽しみです！ほんとに待ち遠しい…^ ^ (2022年5月20日 16時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - わかってくれますか笑！あと文スト4期おめでとう！ついに鐵腸さんが猟犬が来るねー笑 (2022年5月20日 1時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - ましろさん» 初めまして、コメントありがとうございます！確かにそうかもしれません笑 私としても天然なイメージが強いですね…^ ^でも正義という言葉に忠実であり、芯があって強いところが本当に魅力的だと思います！！ (2022年5月20日 0時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - なんか鐵腸さんって冨岡さんに似てる笑 天然なとことかめっちゃ強い所とか！ (2022年5月20日 0時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - ニゲラの蕾 兼 新芽さん» お久しぶりです^ ^喜んでいただけたようで何よりです！新しい大学生活で死ぬほど忙しくてネタすら思い浮かばず、そもそも小説のこともド忘れしていました…汗ですがGW中に少し暇ができたので書いてみました！相変わらず亀更新ですがご愛読していただければ幸いです^ ^ (2022年5月5日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2021年11月14日 18時
