37、意地悪な ページ38
「苦しみから解放させることは、”正義”ではありませんか?」
「っ……。」
一難さってまた一難とはこのこと。
条野さんに襲われかけた私は、鐡腸さんの急な出現によって難を免れたが、また私をめぐる修羅場が始まってしまった。
「あ…あの…、もういいですから…」
『よくない。』
「ハイ」
なんでこんな時に限って息揃ってんの…?!
2人を止める隙もなく、黙ることしかできずにいた私は脱がされた服を布団の下で直していた。
「…Aの同意の上での行為なのか。」
「いいえ。それでもAさんは求めていたのでしょう?心音でわかります。」
「…そうなのか、A?」
「それ、は……」
急に話しを振られた私は、真実を告白することなどできなかった。
しかし、この無言は肯定を意味したことを2人は悟っていたらしい。
「ほら、この通りですよ。
今貴方が割って入るところではなかったんです。
…貴方の大切なAさんのためにもね。」
「………」
条野さんが意地の悪い笑みをしている最中、段々と鐡張さんの顔色が曇っていた。
そして鐡腸さんは条野さんの言葉を認めたかのように、ゆっくりと剣を鞘に収める。
「それは…道理なのかもしれない。」
「えぇ、わかったのなら結構です。」
「だが俺は先の行為を許したくない。」
「……。」
鐡腸さんの曇った表情が晴れていくように、真っ直ぐと条野さんに言葉をぶつけた。
「俺はAのことが好きだ。
条野と一緒にいられると無性に腹が立つし、先のように触れられたら切りたくなった。
負荷を取り除くためだとしても、条野がやるのはよくわからないが許せない。」
「……それ嫉妬って言うんですよ。」
「成程、これが嫉妬か。」
私に向けられた言葉でなくても間接的に、そして大々的に好きと言われたことで頬が紅潮するのを感じる。
「…貴方の言う事は理解しました。私はやる事があるのでそろそろ失礼します。
鐡腸さん、この扉なんとかしといてくださいね。」
「あぁ、承知している。」
「それと、Aさん。
私も貴方のことが好きなので覚悟しておいてくださいね。」
それでは、と軽く会釈して条野さんは医務室を後にした。
「……そうか、条野も…。」
「(いや鐡腸さん気づかなかったんかい…。)」
なんとなくわかっていたが、いざ言われると顔を赤くせざるを得ないところはきっとまだウブなのだ。
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ラザニア太郎(プロフ) - 結愛さん» 結愛さん初めまして、コメントありがとうございます!日々の楽しみになっているとは、とても光栄に思えます😌よろしければ短編集やTwitterでの夢絵などもご覧いただけたら幸いです。これからの更新も気長に待ってください‼️ (2023年2月22日 21時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
結愛 - おもしろいですこれからの投稿楽しみの極みですこれからも頑張って欲しいですけれど無理もなさらずに (2023年2月22日 21時) (レス) id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
夢女子S氏(プロフ) - 最高かよ(吐血)by猟犬大好き人間 (2021年8月11日 14時) (レス) id: 59c0caef7c (このIDを非表示/違反報告)
雨降(プロフ) - とっても面白いです!更新頑張ってください! (2021年8月4日 17時) (レス) id: c97a588bdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2021年7月26日 17時