原罪と春の君�� ページ17
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「条野、さん…？」
震える彼女の声が鼓膜に小さく響いた。それが現実であると理解するのに数秒かかり、体中の血の気が引いた。そして冷や汗がじっとりと肌にしみて、気持ちの悪い感覚に苛まれる。
なんと愚かなことか。
目の前の雑魚一人に対して焦りを抱いたうえに、他者の近づく足音にすら気づかなかったとは。
それに彼女の声音、心拍から何かに怯えていると嫌でもわかる。
「あ、あの、作戦終了の時間の筈なのに、条野さん帰って来なくて。だからそ、その…私、心配になって…」
「此奴に心配か？随分と偉くなったもんだな！
いいかよく聞け、此奴は多くの人を手に掛けた上にその悲鳴を聞いて愉しｯ________」
男が言い切る前に拳銃の引き金を引くと、間も無く乾いた銃声が一つ拠点内部に響いた。
銃弾は奴の側頭部を貫き、私の下で静かになる。鉄と火薬の臭いが部屋に充満した。
本当なら、他組織の状況を知る為に生かして尋問する筈だった。しかし手が勝手に動いてしまったのだ。
これ以上彼女に過去の私を知られたくないと、知らないままでいて欲しいと切に思う。だがこれではまるで、真実をひた隠しにするのに必死で、男の言っていたことが本当だと表しているようだ。
_____やってしまった。
動揺と落胆を表情に出さないよう震える手を握りしめ、荒ぶりそうになる呼吸を抑えながら平然を保って彼女に近づく。そして彼女の耳元でこう囁いた。
「隊長には抗戦の末に敵を排除したと、そう報告します。いいですね？」
彼女は何も言わなかった。何も言えなかったのだろう。
ただ目の前で起こったことに、呆然としながら震えているだけだ。
何処からかは明確に知らないが、彼女の様子から察するに内容の大半は聞いていたのかもしれない。
おそらく、私が犯罪に手を染め非道を為していたことも耳にしたのだろう。
嗚呼、彼女の強張って怯える心音が聞こえる。一番恐れていたことが今起こってしまった。
彼女は私のことをどう思ったのだろうか。
幻滅なのか、恐怖なのか、失意か、どれに当てはまっても不思議じゃない。考えれば考えるほど、彼女の心音を探ろうとしては怖くなる。
体が鉛のように重くなり、夕陽が沈む空の下で作戦は終了するのだった。
△▼△
出来事から一週間程経った。
彼女とはあれ以来、簡単な挨拶以外会話をしていない。
若干距離を取られるようになったのか、それとも私が自然と避けてしまっているのか。
どちらにせよ、仲は最悪になっていた。
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ラザニア太郎(プロフ) - 紙さん» ありがとうございます…！ぜひ仲良くしてください^ ^ (6月3日 15時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
紙(プロフ) - Twitterありがとうございます！！絵も可愛いですー！！ (6月3日 12時) (レス) id: 60978e9706 (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - 紙さん» はじめまして、コメントありがとうございます^ ^お褒めいただいて大変嬉しいです！Twitterの方も先程承認しました。何もかも低倍速ですが、どうぞよろしくお願いします…！ (6月3日 11時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
紙(プロフ) - ラザニア様の小説面白くて時間を忘れて読み進めてしまいました！応援してますー！Twitterの方あと、フォローさせて頂きました！ (6月3日 11時) (レス) @page1 id: 60978e9706 (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - リアリスさん» 初めまして、コメントありがとうございます。本来攻めである側や、男側が何らかの拍子で弱っちゃうシチュがたまらんく性癖で…！いくつか書いてるのですが、そのようなご感想いただけてよかったです！ありがとうございます！ (2023年3月27日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年12月14日 10時
