後日談 ページ14
Aside
とくとく、と一定のリズムを踏んだ優しい音がしていた。
温かくて夢見心地になりながらも、その音の違和感に気づいて脳が覚醒する。
そして目を開けると、肌色が僅かに灯る暗闇が見えた。
「…ん？」
柔らかくて温かいそれは私を包み、穏やかな寝息を私の頭上から起こしていた。
一体何事かと、おそるおそる上を見上げる。迎えられたのは長い睫毛がチャームポイントで、梅の刺繍が良くお似合いの屈強な剣士様の御尊顔…_______。
「…あれ、えっ…？な、何で…？何で鐵腸さんがここに…？」
動揺して思ったままのことが寝起きの掠れた声と共に出てくる。
私を温かく包み、穏やかに寝ていたのは鐵腸さんだった。しかも、何故か裸である。逞しい鐵腸さんの胸筋が言葉通り目の前にあったのだ。
「ん…、A…？お早う、昨日は良いひとときを過ごせたな」
長い睫毛が二、三度上下してから、その瞳が私を捉える。そして鐵腸さんはまるで愛しいものを見るように微笑んだ。
一方、私はその言葉と微笑みに対して、血の気が引く感覚に頭が真っ白にさせられる。誤魔化すように笑って見せたが、多分今の私の顔は真っ青になっているだろう。
「えっと、いや。その…、な、何のことですか？昨日って…」
「覚えていないのか。わかった、一から教えよう。
鍛錬と称して酒を食らったお前は俺にベッドに連れてけと命じ、言う通りしたら今度は裸を見せろと…」
「言ってない！絶対言ってないです！」
「言った。そしてその後は徐に俺の身体を触り、身体に痕をつけてきたんだ」
「う、嘘です！鐵腸さん自分でつけたんでしょ？！」
「自ら首筋につけられるわけないだろう」
見てみろ、と言われて指された鐵腸さんの首筋には、たしかに鬱血痕と噛み痕があった。
それが私のせいだと鐵腸さんは信じて疑わない様子である。
そうだ、昨日私はお酒を飲んだ。そこから記憶がない。
もしこの痕が本当なら、私はどこまでされた？どこまでした？何故した？
思い当たる節もなく、ただ証拠を見せられて混乱に陥される。
もしかしたら、私はとんでもないことをしてしまったのかもしれない。
「酒は人の素性を暴くと聞く。ならば、昨日のお前はどこまで本当だったんだ？」
もう一度、強く抱きしめられて耳元に囁かれる。
それは少し高揚としていながら悪戯っぽい声音で、まるで心臓を撫でられるような感覚にさせられるのだった。
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ラザニア太郎(プロフ) - 紙さん» ありがとうございます…！ぜひ仲良くしてください^ ^ (6月3日 15時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
紙(プロフ) - Twitterありがとうございます！！絵も可愛いですー！！ (6月3日 12時) (レス) id: 60978e9706 (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - 紙さん» はじめまして、コメントありがとうございます^ ^お褒めいただいて大変嬉しいです！Twitterの方も先程承認しました。何もかも低倍速ですが、どうぞよろしくお願いします…！ (6月3日 11時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
紙(プロフ) - ラザニア様の小説面白くて時間を忘れて読み進めてしまいました！応援してますー！Twitterの方あと、フォローさせて頂きました！ (6月3日 11時) (レス) @page1 id: 60978e9706 (このIDを非表示/違反報告)
ラザニア太郎(プロフ) - リアリスさん» 初めまして、コメントありがとうございます。本来攻めである側や、男側が何らかの拍子で弱っちゃうシチュがたまらんく性癖で…！いくつか書いてるのですが、そのようなご感想いただけてよかったです！ありがとうございます！ (2023年3月27日 17時) (レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年12月14日 10時
