【QK】けうらなる七つの宝達【コラボ】 (ページ19)

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そろそろ帰ろうか、となったのは、遠くで人がざわざわとうごめき始めた頃だった。
帰ろう、と歩き始めた俺に対して、彼女はその場に立ち尽くしたままだ。

「ねぇ、拳。今日は来てくれてありがとう」

来年も、また一緒に来てくれる？
少し離れたところで、うつむいて、そんなことを口に出す彼女は、少し弱々しく見えた。

人多いからまた来るのはなぁ、そんな風におどけて見せようとして、ハッと、その時にようやく思い出す。

俺は過去にも、彼女に同じことを聞かれて、同じようにおどけて、彼女はじゃあ違うことしよう、と元気に答えて、それから一緒に帰る途中に、彼女は車に轢かれて、轢かれ、て、

「思い出しちゃった？」

いつの間にか近くにいた彼女が、切なそうな、苦しそうな笑顔を浮かべて俺を見る。やけにひんやりとした彼女の手が俺の頬に触れる。

「拳、帰ろっか」

今帰ると彼女はまた車に轢かれる。わかってるけど、重いはずの足は彼女に合わせて勝手に動き出す。

あと一歩、あと一歩だけ前に出てたら。彼女よりも半歩前を歩いていたなら、彼女が動くのを止められただろう。もしあの時、彼女が駆け出すよりもはやく動けていたなら、俺は彼女の代わりになれただろう。

そうだったら、彼女は今も生きてたかもしれないのに。