【QK】けうらなる七つの宝達【コラボ】 (ページ1)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:11,527 hit

珊瑚は聡明＿ini ページ1

天気予報は晴れ、降水確率は0%、最高気温は33度。真夏という言葉がよく似合う今日、夏休みに入り友人と海にやってきた。

涼しい車内から一歩出ると太陽が照りつく陽射しに目を細めた。これは最高の海日和だと思いながら砂浜を歩く。

荷物を置いて海に入る準備をする。海水浴なんていつぶりだろうか。記念に写真でも撮っておこうとスマホを取り出しシャッターボタンを押す。

「乾まだー？」
「あ、先行ってていいよ」

のんびり用意していると友人達はバッチリ準備し終えていて早く行きたそうにしていた。どうせすぐに追いつくから急がなくていいやと嬉しそうに駆け出す後ろ姿に手を振ってスマホを置く。

鞄の奥を漁り、とある物を取り出す。やっぱり日焼けはなるべくしたくないからしっかりと塗ってから行こうじゃないか。そういやアイツらは塗ったのかな、まあ日焼けとか気にしてなさそうだからいいか。なんて思いながら蓋を開けた。

「ちょっと待ったあー！」

その時、まるで告白現場に割って入るかのような定型文を大声で叫ばれた。
驚いた俺は動きを止めて固まっていると女子高生らしき子が走ってやってくる。
方向は明らかに俺の元。え、俺何かした？全くついていけない俺は走る度に揺れるポニーテールをひたすら見つめていた。

「没収！」
「あ、」

俺の目の前まで来た彼女はいきなり手に持っていた日焼け止めを奪った。

何だこの人。やけに厳しい風紀委員のような人だな。

「あの、急になんですか？」
「日焼け止め塗ろうとしてたでしょ」
「そりゃまあ」
「だから没収！」
「はあ？」

質問の答えになっていない。呆れた俺はさっさと返してもらおうと思い手を伸ばして取ろうとする。

「あ、おい！」

だが機敏な動きで躱された。俺よりも10センチ以上小さいくせにその小柄な身長を活かしてるのかちょこまか動かれて惨敗。
無理矢理取り返そうとするのは厳しいと悟った俺は、誤解を解いて返してもらおうと話しかける。

「いい加減返してくんない？海に入りたいんだけど」
「尚更返さない！」
「なんで」
「珊瑚が可哀想でしょ！」
「珊瑚？」

首を傾げる俺にこれが目に入らぬか、という台詞がついてきそうな勢いで顔の前に日焼け止めを突きつけてきた。

「貴方は珊瑚を殺そうとしてます！」

いきなり何を言い出すんだこの女は。しかも大声で言われたせいで周りの人が俺の方を向いている。こんな所で目立ちたくないんだけど。──これがAAとの最悪な出会いだった。