はち、 ページ10
「何故ですか首領」
悠々と紅茶を嗜む此の組織の長を、私は睨んだ。彼女が敵対組織に連れ去られたと云うのに、此の人は其れを作戦通りだと云い放ったのだ。
耐え切れない程の不快感が私を襲った。最初は使えない部下のひとりとしか見ていなかったが、今はそうじゃあない。
彼女は私の補佐だ、私だけのAだ。
なのに如何して私以外の男に触れられなければいけないのか。私以外の手に依って苦しまなければならないのか。
…そもそも此の作戦は可笑しかった。
彼女が主体的存在と云っておき乍、何故護衛のひとりも付けない?異能力的に考えて、態々ひとりで隠れる必要も無かろうに。
「向こうの厄介な異能、如何やら近くに潜む異能者の場所を見つけ出すモノのようでね。幹部補佐を連れ出したとなれば、向こうに隙が出来ると思ったんだ。合理的な判断に過ぎない」
「彼女を迎えに行ってきます」
「論外だ。総司令が一少女の為に作戦脱退するのかい?引き続き司令を出して来なさい」
「作戦の本核を知らずして何が総司令ですか。舵は貴方が取れば十分でしょう、」
「太宰くん、君なら此の程度の追加事項なんて簡単に処理出来るだろう?何故彼女に其処迄入れ込むんだい」
「____彼女は、」
彼女は、私の所有物ですから。
そう無意識に口にした瞬間私は自覚した。此の感情に終わりは無いと。また、もう既に手遅れであると____
彼女の拒絶は、私の歯車を狂わせた。軽く押し返された、其れだけでも、彼女が私を拒んだ事に変わりは無い。
湧き上がって来たのは怒りだ。何故、何故受け入れない?私は君が逃げぬ様、態々繋いで遣ったと云うのに。
私だけを見ていた方が余程上手くいくに決まっている。何せ私だ、幸せな将来だって保障しよう。
望むモノも凡て此の場に並べて上げる、そう思っていたのに、優しくして上げようと努力したのに。
此の儘じゃあ、どす黒い此の欲で殺して仕舞いそうだよA。嗚呼苦しむ君もいじらしくて可愛いね。
「其れじゃあ、続きをしよう。A、お返事は?」
こくり、と頷いた彼女に怯えは見えるも、反抗心はしっかりと消え失せていた。私は、満足気に微笑んでいた事だろう。
788人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊波トウナ(プロフ) - えっおわりです…?! (2023年2月16日 11時) (レス) @page17 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
湯川 - 終わっちゃったよ…あと26回くらい見れる笑 (2021年11月27日 7時) (レス) @page17 id: b53f4168a8 (このIDを非表示/違反報告)
天ぷら - 終わりなんですかぁぁぁぁぁぁあ (2021年9月12日 10時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 素晴らしいです。更新待ってます。 (2018年11月25日 1時) (レス) id: a0d4f48c92 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 太宰さんの一方的で押し付けるような愛の形が好きすぎて…!支配的な愛情表現がたまりません!応援してます! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千紘 | 作成日時:2018年8月9日 16時