なな、 ページ9
＿＿＿助けて、誰か。
敵の奇襲を凡て把握し作戦本部へ通達、私の「青鷺の宴」なら余裕で出来る代物の筈だった。
然し「青鷺の宴」を使い始めて五分、くらりと目眩が襲う。正直、こんなに長い間異能力を発動させた事が無かったから、怖かった。
けど、此の作戦は私が主体だ。私がちゃんとしなくちゃ、失敗に終わる。そんなの駄目だ。太宰さんに顔向け出来ない。
使い始めて十分が経ち、また二十分が経った。
意識が薄れて往くのが善く判ったけれど、気力だけで耐えた。記憶も殆ど無い。きっと呂律も回っていなかった筈だ。
隠れていた場所に、人がぞろぞろと入ってくるのにはとっくに気付いていた。普段の私なら、少し位抵抗は出来たと思う。
けど、其の時の私はもうフラフラで、其の場にばたりと倒れて仕舞った。
虚ろ気の中、決して味方ではない其の人達に、私は敢え無く捕まる事となる＿＿＿＿
＿＿＿圧迫されていた首は意識を失う寸前で開放され、酷く咽返った。
彼は確かに笑みを浮かべているものの、瞳と声音は、冷たい短剣の様に私を切り裂く。
「如何しようもなく間抜けで救いようの無い君に、私から助言をしよう。私に逆らわない方が善い」
『げほ、げほっ……御免、な、…さ…ｯげほ、』
「何？聞こえない。謝罪をしたいのなら、もっと誠意を込めて大きな声で云い給えよ」
『げほっ、……御免なさい、太宰さ、っ、御免なさい…』
経験した事もない苦しみと恐怖に押し潰されて仕舞いそうだった私は、只謝るしか出来なかった。
すると、表情が一転。一瞬にして和らいだ太宰さん。
「ん、善い子。聞き分けの善い子はだァい好きだよ」
そう云って私の頭を撫でた。まるで子猫を愛でる様に、優しく、優しく、丁寧に。
其れが酷く心地善かったものだから、私は泣きだして仕舞った。ぽろぽろと安堵の粒が零れ、頬を伝い、溢れていく。
「其れじゃあ、続きをしよう。A、お返事は？」
今の私に、選択肢等無かった。
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伊波トウナ(プロフ) - えっおわりです…？！ (2023年2月16日 11時) (
レス) @page17 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
湯川 - 終わっちゃったよ…あと26回くらい見れる笑 (2021年11月27日 7時) (レス) @page17 id: b53f4168a8 (このIDを非表示/違反報告)
天ぷら - 終わりなんですかぁぁぁぁぁぁあ (2021年9月12日 10時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 素晴らしいです。更新待ってます。 (2018年11月25日 1時) (レス) id: a0d4f48c92 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 太宰さんの一方的で押し付けるような愛の形が好きすぎて…！支配的な愛情表現がたまりません！応援してます！ (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千紘 | 作成日時：2018年8月9日 16時
