じゅう、 ページ12
私の
私に依存するまいと、堕とされまいと必死で藻掻く其の言葉とは裏腹な挙動に、思わず笑みが零れた。
嗚呼、愉快愉快。そう、其の儘私に縋ると善いよ。一生ね。大丈夫、君を見捨てやしないからさ。
卦度ね、其れは態と言葉にはして上げない。
近い未来、私に完全に心も躰も縛られて仕舞った中でも、君は未だ恐怖と闘わなきゃあならないんだから。
君は未来永劫此処で暮らす訳だが、勿論私はそういう訳にはいかない。何せ幹部様だからね、仕事はしなくちゃ。
さァ、私が帰ってくる迄の間、君は何を考える?今日の夜御飯?それとも昨日見た夢かな?
いいや、君は私だけを想う。ずっとずっとね。本当に善い気味だ、此れはきっと此の私を堕とした君への罰だよ。
私の焦燥を、君にも感じて貰わねば。
「ふふ、御八つにしようか。もう一度聞く卦度、カヌレとフィナンシェ、何方の気分だい」
『………っ、……』
Aは私の胸に顔を埋めた儘返事をしない。無視をする行為が私への反抗の心算なら、とんだ期待外れだ。
まァ、そんな君も愛らしいのだ卦度ね。
「…A、私は君に選択肢を提示しているのだよ。碌に御返事も出来ないなんて、躾でもしないと駄目なのかなァ」
『ッ、!!…………フィ、フィナンシェが食べたいです、太宰さん、だから、其の……』
泣き疲れ赤く腫れた目許を見せ乍、ふるふると首を横に振るA。昨日の、そんなに堪えたのかな。ふふ、可愛い。
「…今回は許して上げよう、準備をして来るよ」
未だ震えているAを引き剥がし、扉の奥へ消える私。善い処だった卦度、怯える君に魅入って動けなく仕舞ったら困る。
ぱたり、と扉を締め鍵を掛けると、台所へ向かう前に、反対側の部屋へと向かった。
並べられているのは、幾台の
映っているのは、勿論A。
ちゃあんと盗聴器も準備してある。高性能で、ぽつりと小さく零したAの独り言も逃さない。
今現在のAはと云うと、寝台で何処か寂し気な表情を浮かべている様だ。少しずつ此方へ傾いているのが善く分かる。
「可愛いなァ、本当に可愛い。ねえ、早く此方に堕ちて来てよ。反抗的な君も可愛い卦度、矢張り従順な方が好みでね。
…愛してるよ、A」
そう呟いて、熱くなった画面に唇を押し付けた。
788人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊波トウナ(プロフ) - えっおわりです…?! (2023年2月16日 11時) (レス) @page17 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
湯川 - 終わっちゃったよ…あと26回くらい見れる笑 (2021年11月27日 7時) (レス) @page17 id: b53f4168a8 (このIDを非表示/違反報告)
天ぷら - 終わりなんですかぁぁぁぁぁぁあ (2021年9月12日 10時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 素晴らしいです。更新待ってます。 (2018年11月25日 1時) (レス) id: a0d4f48c92 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 太宰さんの一方的で押し付けるような愛の形が好きすぎて…!支配的な愛情表現がたまりません!応援してます! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 59706cc241 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千紘 | 作成日時:2018年8月9日 16時