二十五話 ページ27
「おぉ、切れ味も最高だね。」
そう言って「それ」は、少女は虎化していた腕を脚を、もとに戻した。
右手には先程切り裂いた国木田の血がベッタリとついていた。
血の持ち主である彼を一瞬見下した後、彼女はそれを口に含んだ。
ただ、ひたすらにそれがなくなるまで自分の右手を舐める。
「ふぅ。」
少しの沈黙の後、彼女は自分の足元で寝転がっている国木田のもとにしゃがみこみおもむろに彼の持ち物を探った。
しばらくすると、お目当てのものが見つかったのか口角を上げて「ふふ。」と笑った。
「あったあった。ほぉ、まだ頁は随分と有るじゃないか。」
パラパラ、とそれを捲ると自分のポケットへとしまう。
「さぁて、そんじゃ撤退しますか。」
その時だった。
「待て。」
ひとつの声が、彼女を止めた。
少しの間驚いた表情をした少女。しかしすぐに普通の顔へと戻り、ゆっくり両手を上にあげる。
彼女の首もとには、彼女と同じ毛並みをした虎の腕が鋭い爪を輝かせて向けられていた。
「やぁ、ご機嫌如何?もしかして不機嫌?八つ当たりは嫌だね。」
「今、しまった物を返せ。」
「それにしても今夜は月が綺麗だな。お前さんにピッタリだと私は思うが。」
「それを返せッッッ!!!!!!!」
ピクリと動く少女。
すると大きなため息をわざとらしく聞こえるようにする。
「わーかった、分かった。返す、返すからさ…… _____ 」
上にあげていた手を下ろし、左手で先程しまったものを取り出した。
「全力で受け止めてくれよ、敦くん?」
少女は振り返り、血まみれ虫の息状態の敦の頭に「拳銃」を突きつけたのだ。
_____ パアンッッ!!
脳天に命中した銃弾。
いや、したはずだった。
「………おろろ?」
少女が持っていた拳銃は音をたてずその身体を縦に分かれた。
「銃弾が発射される前に本体を切っちゃうなんて…やっぱその爪すごいな。さすがは本家ってやつ?」
「茶化すな。早くそのポケットに入っているものを返せ。」
少女の言葉に見向きもしない敦。
彼女はただ、月と同じように輝いている彼の目を見ていた。
何も進展がないことに苛立つ敦は急かした口調で言う。
「早く返せ!!!!!そうでないと僕がお前を _____ 」
「ねぇ、敦くん…。」
また、月が雲に隠れた。
「君だけがその異能を使えると思ったら…大間違いだぜ」
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時