明日も空は青く綺麗で[きっくん]

44話 ページ49

『…ｯ』

やめよう。

なんで思い出してるんだ。
今は今で良いじゃないか。

父さんはいないんだ。


スマホ画面を覗き込むと、もうすぐ日が出てくる、といったぐらい時間で。


『…今は寝たくない…な、』

ぼんやりとそう呟くと、反動を付けて起き上がる。
オールなんて久しぶりだけど、今は寝たくない。
寝たら、また何か見てしまう気がして。


ふと目線をテーブルに移す。

すっかり冷めきったハンバーグ。


『……』
少し顔を歪めてから、ハンバーグを持ってキッチンに向かった。

そのままハンバーグを、ゴミ袋に入れた。



あの時の怖さごと、ゴミ袋捨てた。




『……きっくんの声聞きたい』

掠れた声でそう呟く。

でも、今電話したら迷惑だろうな、と考える。


『じっきょ、見よ』

また自分の部屋に戻って、薄明かりで照らされたままスマホを操作した。





「お前ばかやろｯwww」
あ「ふはははwww」
F「やだぁなんでこうなるの〜〜w」
え「あっこれ死にます〜あーい」
「「「あいつ死にやがったwww」」」


あの4人の声が聞こえる。
楽しそう。

不思議だよなぁ。


こんなにも好きな人の声を聞くだけで


自分も幸せになれるなんて。





『好きだなぁ…』

その言葉は、動画の音で掻き消された。

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