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『…そ、れは』

なんでだろう
助けて欲しいのに、言えない。
父さんがお兄ちゃんと私に暴力を…、なんて言えるわけない。

なら何できっくんに、この人に助けを求めたのか。

黙っていると、きっくんの手が頭に置かれる。
わしゃ、と頭を撫でられ、わけが分からない。

『な、何…きっくん』
「言いたくないなら言わなくても良いけどさ、Aはそれで良いの?」

真っ直ぐな瞳で見られ、正直に首を横に振る。

「…言える?」
『…うん』

少し微笑んでから、きっくんは手を離した。

『あのね、私のお父さんが、ね。私とお兄ちゃんをね、殴ったり蹴ったり刺したりするの。それが怖くて、痛くて、逃げたかったんだけどね、家に閉じ込められてて、出れなくて…ッ』

ここまで話して、ようやく気づく。

『お兄ちゃん…ッ』

お兄ちゃんが危ない、そう思った。
私がいなくなって、父さんは怒ってお兄ちゃんに当たると思う。

そしたら…?
興奮し過ぎて、父さんはお兄ちゃんを…


私はベッドから勢い良く飛び出した。

「…!?A…」
私の名前を呼んでから、察しがついたのか、俺も行く、と言って着いてきてくれた。

家に向かって走る。
こんなに走ったのはいつぶりだろう。
息がきれる、苦しい。

「大丈夫かA…ッ、家どっちだ!?」
そう言いながら私を担ぐきっくん。

『…ッ、あそこの、二つ目の角、右…』

「了解。ごめん、ちょっと揺れるぞ」


きっくんが走って私が道案内をする。
きっくんは息がきれそうで辛そうな表情で。
どうして私なんかの為にそこまでしてくれるのか、とも思ったけど。それはまた今度聞くとして。

『…ここ!!』

「おっけー!!!!」


そう言ってきっくんは扉を開けようとする。
でも鍵はあいてなくて、開かない。
一気に血の気が引く。

ガコンっと大きな音を立てて扉が取れる。
…取れる?

「開いてなかったら開ければ良い、でしょ?」

二ィッと笑って、行くぞ!!!!、と言いながら中に入るきっくん。その後ろに着いていく。


{…ッ!!!!…!!!!}

父さんが何か叫んでいる。
お兄ちゃんの声も聞こえる。

[父さ、やめ…ッぁ]


声のする部屋に入ると、父さんがお兄ちゃんを壁に追い詰め、首を絞めていて。

『…ッとうさ、やめ…おにいちゃ…ッ!!!!』


ガンっと鈍い音。
それと同時に、父さんの呻き声とお兄ちゃんの荒い息。


「自分の子供に何してんだよ…ッ!!!!」

低い声で怒鳴ったのは、私に優しく微笑みかけてくれていた、きっくんだった。

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設定タグ:MSSP , 実況者 , きっくん   
作品ジャンル:恋愛
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ふらっち(プロフ) - うずらさん» 両思いやんクソうれぴよ。ピブー( ˇωˇ ) (2017年7月10日 19時) (レス) id: 73f6e2f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - ふらっちさん» 両思いだ(´・ω・`)やった(´・ω・`)(謎のテンション) (2017年7月10日 18時) (レス) id: 6e3abf552a (このIDを非表示/違反報告)
ふらっち(プロフ) - うずらさん» ありがとうございます…( ˇωˇ )お友達なりましょ…??( ˇωˇ )好きです…( ˇωˇ ) (2017年7月10日 15時) (レス) id: 73f6e2f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
うずら(プロフ) - めっさ面白い……(´・ω・`)作者さんとお友達になりたい(´・ω・`)すき(´・ω・`) (2017年7月10日 9時) (レス) id: 6e3abf552a (このIDを非表示/違反報告)
ふらっち(プロフ) - なーやさん» 読んで下さったんですか!?ありがとうございます…!!更新頑張りますね!! (2017年3月27日 16時) (レス) id: 73f6e2f7d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふらっち | 作成日時:2017年3月22日 18時

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