明日も空は青く綺麗で[きっくん]

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救急車が到着する。

きっくんが、彼が運び込まれる。
数分前には私の隣で笑っていた彼が。

今は完全に目を閉じ、意識も無い。
嫌だ、嫌だよ。
このまま、彼を失いたくない。

神様、どうか我儘な私の願いを叶えて下さい。
あぁ、神様、どうか。

…どうか。






もう一度、彼と…

頭の中で願う。
今の私はきっと、情けない表情をしているだろう。
それでも私は願う。

彼と私に…、幸せな時間を…ください


そんな願い、叶うわけ無かったのかもしれない。



『あ!!!!きっくん、見て!!!!猫…ｯ!!!!』

私が彼処で走り出さなければ。

「んー、本当…ｯ!!!!Aｯｯ!!!!!!!!」

背中に強い衝撃。
それと共に、車のブレーキ音と……鈍い音。

『…ｯあ…、』

「…ｯ」

『やだ、きっくん…!!!!ねぇ、やだよ…!!!!』

ボロボロと流れる涙。
きっくんが、力なく目を見開き、震える指先で私の涙を拭う。


そんな彼の優しさに、更に涙が流れた。






あぁもう、さっきの事を思い出しただけで大粒の涙がポタポタ落ちてくる。

救急隊員さんに、大丈夫です、必ず助かります、と声をかけられる。

違う、違うんです。


きっくんの事も心配。死ぬ程心配だけど。
何よりも。


自分の無力さと情けなさに、勝手に涙が出てくるんです。


ねぇきっくん。
我儘な彼女でごめんなさい。

こんな汚い私の涙、貴方はまた拭ってくれますか…?

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