対面 ページ5
着替えが終わってコックピットへ向かった。
来てすぐに、手前に見掛けない男が2人、その奥にナターシャとフューリーがいた。
コールソンは艇を操作している乗組員の傍らにいる。
｢A、随分遅い登場だったわね｣
まず始めに気付いてくれたのはナターシャで、私を呼ぶや否やハグをしてきた。
『ごめん、私の記録違いで遅れたの。出迎えありがとう、ナターシャ』
｢あらそうなの。…それはそうと、今日も渋い服装ね｣
『…私の服ってそんなに渋い？』
｢私がそう思うだけかしら？｣
自分の服を見下ろしながら首を傾げる。
同じくナターシャも首を傾げた。
すると、傍らにいた男が1人、口を開いた。
｢…ナターシャ、彼女は？｣
｢ああ、紹介が遅れたわね。この子はA・ハッカー。名前はこうだけど本当は日本人よ｣
『ナターシャ、それは別に言わなくてもいいんだけど』
｢ごめんなさい、口が滑っちゃって｣
『……』
紹介で口が滑った上にその口に笑みが浮かんでいるとはどういう事だろう。
日本人とは言って欲しくなかったんだが…いや、別に完全に嫌という訳ではない。
すると、紹介を聞いた男は私に向けて右手を差し出した。
｢僕はスティーブ・ロジャース。キャプテン・アメリカと言ったら分かるかな？｣
『ああ、資料で見た大戦の英雄ね。…右手でいいの？握手』
｢…何か悪い事でも？｣
キャプテン…スティーブが不思議そうに首を傾げる。
ふむ…ここは一つ試してみるかな。
『いや、何でもない。よろしく、キャプテン』
｢ああ。僕の事はスティーブとでも呼んで…っ？｣
私がその右手を握り返すと、スティーブは額に眉を寄せた。
｢…君、この右手は…｣
『ごめん、痛かったかな。実はまだ力の調整中でね。悪気はないんだ、スティーブ』
ぱっと右手を離してその手に填めている手袋を取った。
露わになったのは体温すら感じられない鉄の手。
いささか女の私には似つかわしくない物の様に思ったのか、スティーブは目を丸くした。
｢あら、Aの新しい腕かしら？意外とスムーズに動かせてるじゃない｣
『でもちょっと重いんだ、まだ鍛えが足りないみたいで』
手を軽く動かしながらナターシャに笑いかける。
ナターシャは興味有りげに私の右手を触っていた。
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ゆず招き猫(プロフ) - まべさん» ありがとうございます！頑張らせて頂きますね…！！ (2019年7月8日 21時) (
レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
まべ - とっても面白いです！更新頑張ってください！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: c2b967cffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2019年6月2日 21時
