準備2 ページ17
『…単純なんだな』
｢簡潔な答えだと言ってくれ｣
そう言い返すと、また作業に取り掛かる。
私の腕はもうすぐ修理が終わりそうだ。
しかし…ふむ、何の為か。考えた事がなかったな。
先程コールソンの意志を、そう決めたが、それは次ぐだけに過ぎない。
私個人の戦う理由ははっきりとはしていないのだ。
『…私は』
ぽつりと呟くと、トニー・スタークは手を止める。
恐らく答えを聞きたいのだろう。
『私は多分、貴方と同じ様に戦っているのかもしれない』
｢…僕と？｣
自分と同じ答えに些か不思議と感じたのか、ぽかんとしている。
『だって今の私は、
右腕を指差してそう言った。
義手がなければ私が私として世間は認識してくれないだろう。
義手があるからこそ、私はヒーローとして世間に定義付けられる、そう考えた。
『前は無くても何とかやり過ごしてきた。戦えてきた。…でももう無いと無理かもしれない。それの力を知ってしまったから』
以前の様に両腕揃っていれば、どれだけ普通にやっていたのだろう。
こんな未来にはならなかったかもしれない。
力を知ってしまったから、私はもう腕を無くさずは居られなくなった。
寧ろ、無くては困る。
密かにそうは感じていた。
『この考えって、戦う理由に等しくないかな？』
トニー・スタークにそう問うと、彼はいや、と口を開いた。
｢君がそう言うなら、そうなんじゃないか。A｣
『あ、今名前初めて呼んだ』
｢おい、大事な話をそこで逸らすな｣
『だって、貴方が私の名前を呼んだのは初めてだろ？トニー・スターク』
くすくすと笑いながら言う。
トニー・スタークはまたため息をついた。
｢ああ、もういい…分かった、何とでも言え。あと、僕の事はフルネームで呼ぶな。他人行儀に思える｣
『私達まだ親しい仲じゃないだろう？』
｢だとしても呼び方は気に入らない。どうにかしろ｣
『じゃあ…トニーがいいかい？』
｢勝手にしろ！ほら、終わりだ。腕を出せ｣
ううん、若干苛立たせてしまったか。
反省しよう。ごめん、そう謝ろうとしたが、思いっきり右腕を接続された。
…その時身体が震えたのは言うまでもない。
以後、トニーは接続部分の改良をするか、と呟きながら自分のスーツを直すのだった。
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ゆず招き猫(プロフ) - まべさん» ありがとうございます！頑張らせて頂きますね…！！ (2019年7月8日 21時) (
レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
まべ - とっても面白いです！更新頑張ってください！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: c2b967cffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2019年6月2日 21時
