その最中 ページ37
海をゆく大船は穏やかな波に揺られている
甲板の方では騒ぎ立てる海賊達
その中、船尾の方に人知れず移っていた俺は最早地平線の先に消えたあの島の方を眺めていた
『───……』
煩いからというのもある
静かな場所に居たかったのもある
…まあ今は、ただ一人になりたかった
瓦礫の雨を抜けた後、どんちゃん騒ぎの中、炎から親父殿の事を聞かされた
親父殿は、あの戦争で亡くなったそうだ。
俺が飛び去った後、白ひげ海賊団を裏切ったあの男が現れたらしい
炎も意識が朧気らしく全ては覚えていなかった
詳細は戦争が終わった後、赤髪に聞いたとの事
赤髪は戦争を終わらせる為に現れたそうだ
その後親父殿の遺体を引き取り、赤髪が墓を作ってくれたらしい。
『…ケホ』
一人になりたかったのは泣きたかったから
楽しい雰囲気を台無しにはしたくなかったから
今は泣き終わって、潮風で顔を冷やしている所だ。
あの時聞かなくてよかった
きっと戦意喪失してた筈だろうし。
｢赤眼屋｣
不意に背後から声がする
振り返ると長刀が少し驚いた顔を向けてこちらを見ていた。
『…ああ、長刀か。何か、用か？』
引き攣りながらの声が出る
まずい、泣いてたのバレる
｢…泣いてたのか？｣
早速。
見たらわかるだろうにわざわざ聞くのか…。
『そうだが…』
｢お前でも泣くんだな｣
『俺を何だと思ってるんだ…泣きたい時くらい泣く。それは人として当然だろ…』
まさか人として見られてなかったとか
それはそれで酷くないだろうか
｢目元が赤いぞ、冷やしてねェのか？｣
指の腹で目元を撫でられる
酒を飲んだ後だろうか、指先は僅かに温かい
『…冷やす氷も今はないだろ』
長刀の右腕には俺と同じ様な縫い目がある
視界にそれが入ると思わず自分の左腕を服の上から擦った。
『…腕はいいのか？』
｢おれは医者だぞ、これくらい平気だ。お前の方が平気じゃなかっただろ｣
『だ…い、医者でも痛い時ぐらいあるだろ…』
変な所で意地張る…医者ってこういうものなんだろうか
心配して損した。
｢…赤眼屋｣
グッ
『ん…？おい何し、て』
左肘辺りを掴まれたと思えば
後ろの、船の縁に押さえ付けられた
身体が反る、正面に長刀の顔がある
何故こんな、状態に
『何して…るんだ、長刀』
｢名前で呼べよ、赤眼屋｣
ま、ますます意味が分からない…。
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ツバメ - 頑張って下さい楽しみにしてます (2022年4月21日 12時) (
レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、2度目のコメントありがとうございます。頭足らずでちょっと理解が及ばないのですが続きをご所望という事ですね？申し訳ありません、前にも言いましたが執筆中でして…首を長くしてお待ちください。 (2022年4月20日 23時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 何度見ても面白いです この続きに似た別の作品とその作品名はもうあるのですか！？ (2022年4月20日 19時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、コメントありがとうございます。申し訳ありません、ただ今キリのいい所まで執筆中でして…公開までもう暫く首を長くしてお待ち頂ければ幸いです…。 (2022年3月21日 17時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 話が面白すぎてもっと続きが見たいです 恋愛に関して疎い彼女マルコとどうくっつのかや麦わらとローとゾウ編気になります (2022年3月21日 5時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2021年11月15日 17時
