好都合 ページ39
｢男として、じゃねェんだな？｣
『…？そこに拘る必要はあるのか？家族なのに、そこに拘って何の意味がある』
特別な気持ちを家族の誰かに向けた事はない
いや、向ける意味もないと言った方が正しいだろうか。
そもそも、俺は
家族愛しか、知らない。
他の愛や、好意は分からない。
だってずっと、自分とは無縁のものだと割り切っていたから。
『意味の無い気持ちを持っててどうする、何の得がある。そもそも俺は好かれるような人間でもない。俺よりもいい奴はもっと居るだろうし、俺に拘る必要なんて…』
｢…じゃあ仮に、おれがお前を好いてると言ったらどうする。一人の"女"として見ていると言ったら、どうする｣
…は？
今コイツ、何て
『いや、だから…今言っただろ、俺よりいい奴はもっと』
｢おれは｣
ワントーン、声が上がる
反射的に、長刀の目を見た
｢赤眼屋に名を呼ばれたあの時から、違和感を覚えた。お前は普段人の名を呼ばねェ、呼んだのは何か意味があるからだろ。でなきゃ覚える気もなかったおれの名を呼ぶ筈がねェ。
───なぜあの時名を叫んだ。気があったからか？｣
別にそういうわけじゃ
あの時は必死だったから特に深い意味なんてない
ただ、あの時は
『…目の前で、もう誰かを失いたくなかったから』
｢…｣
『深い意味はない。ただ純粋に、お前が死んで欲しくなかっただけだ』
名を呼ぶだけじゃ何も変わらないと思うがな、とも付け加えておく。
もう目の前で人が死ぬのはごめんだ。
もう、三度も見たくない。
そんな事は耐えられない。
｢──…そうか｣
このまま身を引いてくれると嬉しい
納得した言葉が聞けたからきっと
｢赤眼屋｣
背けていた顔をまた向き合わさせられる
息がかかる、触れ合う寸前の距離
｢おれは、お前が好きだ｣
聞かされたのはその一言
炎と同じ様な言葉、だけど
感じる、"重み"が違った
『──……え、』
距離が近いせいか顔がハッキリ見えない
けど声からして、長刀は本気のようだ
長刀は本気で、俺の事が
『…や、やめておけ。俺の事を好いても俺は…』
｢お前が無理におれを好きになる必要はねェ。お前に好きな奴が居ねェのが好都合…それだけだ。居ねェんだろ、そんな奴は｣
好きな奴は居ない
家族として好きな奴はいる、沢山。
好きな奴、男として
……本当に、居ないのか？スザク。
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ツバメ - 頑張って下さい楽しみにしてます (2022年4月21日 12時) (
レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、2度目のコメントありがとうございます。頭足らずでちょっと理解が及ばないのですが続きをご所望という事ですね？申し訳ありません、前にも言いましたが執筆中でして…首を長くしてお待ちください。 (2022年4月20日 23時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 何度見ても面白いです この続きに似た別の作品とその作品名はもうあるのですか！？ (2022年4月20日 19時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、コメントありがとうございます。申し訳ありません、ただ今キリのいい所まで執筆中でして…公開までもう暫く首を長くしてお待ち頂ければ幸いです…。 (2022年3月21日 17時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 話が面白すぎてもっと続きが見たいです 恋愛に関して疎い彼女マルコとどうくっつのかや麦わらとローとゾウ編気になります (2022年3月21日 5時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2021年11月15日 17時
