炎 ページ30
確か伝説爺は、麦わらと同じ名前だった。
実の家族が敵とは何とも、苦しいだろう。
しかし麦わらは躊躇わなかった。
爺さんの拳を躱し、自分の手で親を殴った。
麦わらが処刑台に辿り着く。
鍵は手にしているようだ、これで、これで炎が。
そんな期待も愚か、一筋の光線によってそれは防がれた。
鍵を壊された、あれでは錠を外せない。
ずっと隣に佇んでいた"仏のセンゴク"がみるみる巨大化する。
拳を振り上げ、炎達に向かって振り下ろした。
だが麦わらが、その拳を和らげた。自らの体を張って。
全く無茶をする。
しかし処刑台は耐えきれない。
炎と麦わらが宙に放り出された。
｢撃てェ！！処刑台ごと吹き飛ばせェーーー！！！｣
拙い、これは防げない。
砲弾の雨があの2人を襲う。
爆炎が2人を包む。
どうなった、あの2人は。まさか───
｢ん！？｣
｢爆炎の中に！！炎のトンネルが…！！｣
───ああ、やったか。やってくれたか麦わら。
｢お前は昔からそうさルフィ！！おれの言う事もろくに聞かねェで、無茶ばかりしやがって！！｣
｢ウオオオオオオ！！！｣
｢エース〜〜〜！！｣
橙色の炎。夕焼けの色。
やっぱりお前は、それが似合う。
『全く世話の焼ける…』
…そう思っていても、今は。
本当に、心の底から、良かったと思っている。
『…気を抜くな2番隊！！炎は取り返した！親父殿の元に急げ！！』
｢オォ！！｣
後は帰るだけだ。
俺達の海に。早く旅の続きをしよう。
また皆で、あの青い海を渡りたい。
｢気ぃ抜くなルフィ！！｣
｢おう！！｣
｢"火柱"！！｣
アイツ解放された途端に暴れやがる。
少しは体力を温存しやがれ。
｢闘えるかルフィ！！｣
｢勿論だ！！｣
構える兄弟、あれはあれでらしいな。見違える。
｢お前に助けられる日が来るとは夢にも思わなかった、ありがとうルフィ｣
｢ししししっ！！白ひげのおっさん達が助けてくれたからな！！｣
『炎！麦わら！急げ、逃げるぞ！！』
呼びかけると何とも息のあった攻撃で薙ぎ倒してくる。
普段から合わせてくれればそう苦労はしなかったんだがな。
空から逃げ道を作る。
先に2番隊を進ませて皆と合流を急いだ。
｢強くなったなルフィ！｣
｢いつかエースを超えてみせるさ！！｣
その後氷の男の技を炎が受ける。
氷と火だ。相性としては炎が勝っている。
段々と、逃げ道が作れてきた。
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2021年1月20日 9時
