青い不死鳥と朱い不死鳥《ONE PIECE》Ⅲ (ページ13)

今日:8 hit、昨日:19 hit、合計:93,373 hit

命名ページ13

｢不死鳥はマルコに既に付いてるからなァ…オメェは…そうだな、"業火"でいいだろう｣

『悪くない』

だとすれば、俺は"業火のスザク"という事になるんだろうか。

『…ああ、悪くないな』

親父殿から名を貰えた。

これ程誇らしい事が他にあろうか。

『なら、俺は今から白ひげ海賊団2番隊隊長…"業火のスザク"だ』

｢グラララ…！悪くねェ！｣

親父殿が腕を振る。

それと同時に飛び上がる。

目指すのは処刑台、炎のもと。

｢クソォ！鳥野郎め！！｣

立ち塞がる壁。

巨人の海兵か、相手にしては丁度いい。

金棒を振り上げる。

試しがい、特訓の成果の見せ所。

『武装硬化』

武装色の覇気を脚に纏い、そのまま勢いよく向かっていく。

｢地に落ちろォオ！！｣

『テメェが這い蹲れ、巨人族…！"炎帝の怒気"！！』

ガギィィィンッ！！！

増す炎と蹴りの威力。

金棒は弾かれ仰向けに倒れかかる巨人。

『"獄炎砲"！』

それに追い討ちを掛ける様に炎の塊をお見舞いする。

塊は巨人族を燃やし、氷の地面に倒れた。

翼を解除して俺も氷の上へ。

意外と氷は厚そうだ。

『2番隊！同じ仲間を助けたいのなら俺に続け！！遅れをとるな！！』

｢ウォォオオ！！隊長ォ！どこまでも着いてくぜェー！！｣

｢スザクに続けェーー！！｣

士気は上がった。

上出来だ、それでこそ2番隊。

｢スザク！！！｣

処刑台の上から、炎が俺の名を呼ぶ。

視線を送れば何とも悔しがっているような、そんな顔をしていた。

｢何で来たんだよ！！お前こそこんな所来るべきじゃなかったのに…！おれみたいな奴見捨ててくれればよかったのに！！｣

『大事な部下を切り捨てる隊長が何処にいる』

｢！？｣

『確かにお前は馬鹿だ。俺の忠告すら無視した大馬鹿野郎だ。隊長命令すら聞けねぇとんだ馬鹿野郎だ』

俺は今まで何回馬鹿と言ったか、だが事実ではあるんだし数える必要も無い。

『───けどそんな馬鹿でも、面倒を見るのが"姉"の役目だろう？』

｢ッ…！！｣

堪えるような、そんな顔。

そんな顔が出来るんだ、お前のさっきの言葉は聞かなかった事にしてやるよ。

『第一に説教、その次に治療だ。…大人しくそこで待ってろ炎。今行く』

｢ッ…、…！！！｣

…いい子だ。

微かに頷いた様に見えた。

生きたいと思え炎。お前にそんな最期は相応しくない。

お前には、"自由"な方が似合うんだから。