勝負 ページ9
次の日。
船は近くの無人島に停泊した。
木の全く生えていない草原の島だった。
フィールドとしては持ってこいだろうが、正直全く気が進まない。
｢エースゥ〜！ちょっとは加減してやれよ〜！｣
｢スザクも加減しろよ〜！！｣
野次が煩い。昨日は良く眠れなかった。
この勝負、決着が付いたら潔く俺は休む。
｢スザク、おれは手加減しないからな。殺す気で行くぜ｣
『青二才が…てめェに殺される程俺は弱くねェ、舐めんな』
恐らく激しくはなるだろう。
だとすると、服が邪魔になる可能性もある。
俺は船の縁に飛び乗った。
『不死鳥、持っててくれ。服を台無しにしたくない』
｢いつになく本気だねい、気ィ緩めんなよ｣
『分かってる』
また再び草原に降りる。
マントがないと違和感がある。
ただし動きやすい。
…後は殺さない程度に攻めるだけだ。
潮風が吹き抜ける。
風に揺られる草が心地よく音を立てている。
さあ、いざ
手に力が入る。
風が、止む。
｢火拳！！！｣
『獄炎砲』
火の塊同士がぶつかる。
草原が焼ける、焼ける様な熱さが全身を包む。
威力はまあまあだが、俺の炎より少し劣るか。
｢ボーッとしてんなよ！！｣
『…』
炎の中から男が飛び出す。
拳を握って振りかぶってきた。
｢火拳！！｣
ドゴォッ！！
素早く避ける。
今まで居た場所が抉れる。
殴る威力だけは立派だ。
その後も何度も殴り掛かられる。
勿論、何度も飛ぶように躱し続けた。
｢逃げんな！ちょっとは攻撃し｣
『喧しい』
ドガッ！！
素早く振りかぶって回し蹴りをお見舞いする。
数メートル男は吹き飛んだ。
『単純だな、この程度で自分が勝っているとでも思っているのか？短気にも程がある。能力に色々頼り過ぎだ』
｢ん…だと！！｣
『…能力って言うのは、こうやって使うもんだ』
手に、掌に炎を灯す。
小さな炎だった。ただこれは朱い炎ではなく、青い炎。
『鬼火』
男に向かって、その炎を放る。
ゆらゆらと揺れながら男の元に近付いていく。
｢こんな火がなんだってんだ、お前やっぱり弱いんだろ｣
『侮るな小僧、自信過剰は早死にするだけだ』
パチン、指を鳴らす。
その瞬間、火柱が立つ程鬼火が大爆発した。
｢うお！何だあれ、スザクの新しい技か？！｣
｢ありゃあ食らったら即死級のやつだねい｣
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
