没収 ページ47
ビブルカードは不死鳥の掌で俺の方へと進む。
｢いいや、おれが探しに来ただけだよい。けど探しに来てみればどうだ、赤髪に捕まってるお前が居てうっかり連れて行かれそうになって、正体もバレたと来た…お前確か、前に北の海のルーキーと会ったって言ってたな。そういう運でも持ち合わせてんのかい？｣
『好きで会ってる訳ねェだろ』
｢まあそうだろうな｣
今とてもうんざりとした顔をしてるんじゃないかと思う。
不死鳥の顔が苦笑に歪んだ。
悪い、と言ってまた頭を撫でる。
不死鳥が悪い訳じゃない、何かと運が悪い俺のせいだから不死鳥が気にする事はない。
そう言うと小突かれた。
深く考え過ぎだと。
言い出したのは不死鳥じゃないか。
｢…とりあえず、それはおれが預かっとくよい｣
不死鳥が酒瓶を指差す。
…こうなるから親父殿は俺に頼んだんだろうか。
『…俺、何か言われないか』
｢言われる前におれが言っとくよい、スザクを危険な目にあわせんなってねい｣
『…？危険な目にはあってないぞ？』
｢今の今までの出来事を忘れたとは言わせねェよい？｣
声に圧が掛かっている。
ああ、赤髪か。
大丈夫だ、次は躊躇なく殴る。
正当防衛はするから安心して欲しい。
酒瓶は不死鳥に渡してそのまま帰る事に。
帰れば早速親父殿の所に不死鳥が行った。
あの酒は不死鳥が没収しておく様だ、悪い親父殿。
赤髪の事も話したらしい、船の中だから噂が立つのも早い。
その日の夜は皆から揶揄い半分の心配される程だった。
コックは普通に、心配のあまり涙目だったが。
あの男、赤髪は──恐らく親父殿に負けず劣らず強いだろう。
覇気も強い筈だ、抑えていてもそれは分かっていた。
何せ林の中で鳥が一切鳴いていなかったんだから。
…俺も、思うままに覇気が使える様になればあんな風になれるだろうか。
皆と並べる程強くなれるだろうか。
明日からまた、覇気習得の特訓が始まる。
炎が帰ってくる前に何としてもものにしなければ。
…勿論、帰ってきたら間髪入れずに殴るが。
優しい月明かりと潮風が全身を撫でる。
小さな炎を手に灯して空に放ると揺らめき、月明かりを受けながら消えていった。
命の紙が、少しずつ燃えていく。
全て消えて仕舞えば、それは命の終わり。
命の炎が、尽きていく証拠。
───ゆっくりと、死の影が濃くなっていく。
to be continued…
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
