好み ページ45
『ぐ…ッ、この…』
やっぱり力が篭ってる。
この男、往生際が悪い。
｢…なあ、マルコ。一日だけスザクを貸してくれないか？ホントに一日だけ。一緒に飲んでみたくなったんだ、それぐらいいいだろ？｣
『誰が…！お前と飲む訳ないだろ！』
｢…って言ってるが？スザクの意志は尊重するべきじゃねぇかい？｣
何なら蹴ってもいいから助けてくれ不死鳥。
赤髪の腕に手を掛けて必死に抜け出そうとする。
けれど更に力が入り、抜け出す事すら敵わない。
｢少しくらいいいじゃんかよ〜。…スザクはさ、丁度おれ好みの女なんだ。男に対しても負けず劣らず…顔もいいし、ダメか？｣
腰に回っている手が横腹を撫でる。
ほのかに温かい手に、身体は何故か反応を示してしまう。
『ッ…』
｢…本人云々って、おれは言ったが…撤回するよい。今すぐスザクを離せ、赤髪。これ以上おれ達の妹に手出しすんじゃねェ｣
空気が、今まで以上に張り詰める。
…不死鳥がここまで怒るのは、初めて見た。
静かな怒りがふつふつと伝わってくる。
｢…わかったよ、降参｣
赤髪の腕が緩む。
地面に降ろされた。
…が、離れる瞬間腕を掴まれる。
スリ、と布が擦れる音がして、赤髪がまた耳元で囁いた。
｢次会う時はフードは取っておいてくれよ？｣
嫌に、悪寒がする声だ。嫌な感触がまた伝う。
｢…次は大人しく引き下がる気はないからな｣
ボソリと、それだけ言われると腕を離される。
何の事だ、引き下がるって、どういう。
そして何事も無いように不死鳥に語り掛けた。
｢ほんの冗談だって。どんな反応するか見てみたかっただけだよ。そしたら思いの外、そんな反応するんだな。…余っ程スザクの事が大事らしい｣
｢当たり前だろい、妹を想って何が悪い｣
トン、と背中を押される。
そのまま不死鳥の背に回って服にしがみついた。
｢スザク〜…そんな嫌われるとおれ傷つく…｣
『既にお前の事は嫌いだ』
｢即答｣
つらァ…と赤髪は言う。
…はて、その考えは本当かどうか。
疑わしい所だ。
｢…何か言われたかい？｣
『次はフード取れとか、引き下がる気はないとか…』
｢へえ…｣
何故だろう、今一瞬不死鳥から殺気に似た様なものが感じられたんだが。
…これは気のせいにはできない。
確実に殺気に似た様なものが感じられた。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
