飛びたい ページ28
『…背中に乗りたいだと？』
｢そう！｣
説明しよう。
あれから後日、島を出て船は現在航海中。
隊長としての仕事をしていると部屋にやってきた炎に突然そう言われた。
つまり唐突に、という事だ。
俺も何故そんな考えに至ったのかは分からない。
『…不死鳥に乗せて貰え』
｢全然乗せてくれねェもん。嫌だって言うし。だからスザクのとこに来た！｣
『迷惑だ、仕事させろ』
｢な〜！頼むよちょっとだけ〜！！｣
『喧しい、寄るな。手元が狂う』
寄ろうとする炎の身体を足で寄らない様に押す。
生憎俺は忙しい、前の様にも飛びたいが今はそうはいかん。
隊長になってからやる事が多くなった気がする。
グッ
途端、足首を炎に掴まれる。
横にずらして書き物をしている事にも関わらず抱き着いてきた。
『うっ…』
｢スザク〜…頼むってえ、少しでいいからさあ〜…｣
くそ、コイツ…重い、重いぞ。
幾ら椅子に座ってるとはいえ全体重を乗せる馬鹿が何処に居……ああ、ここに居た。
『…離れろ馬鹿が』
｢じゃあ乗せてくれよ｣
『執拗い』
炎の首根っこ、もとい数珠を掴んでひっぺがす。
『お前は大人しく昼寝でもしておけ。さっきも言ったろう、仕事させろ。忙しいんだ』
一先ず部屋の外に放り出す。
『いいか、俺じゃなくて不死鳥に頼め。不死鳥は俺より力があるんだからな』
何か言おうとした炎を無視してドアを閉める。
やっと仕事に専念できる。
『もうひと踏ん張り…と』
伸びをして椅子に座る。
あと少し。もう少しで終わる。
そしたら────
気付けば夕方だった。
思ったより時間が掛かったな。
書き物は不死鳥に渡して置いた。
炎は…どこいった。
『炎が何処にいるか知らないか』
｢エースかい？少なくともおれのとこには来てねェよい｣
来てないのか、じゃあ頼みに来ていないという事に。
『…そうか、ありがとう』
｢何か頼まれてんのかい？｣
『別に。何も頼まれてないさ』
不死鳥の部屋を後にする。
甲板に向かった。
寝ていた、甲板で。
まさかあれからずっと寝ていたというのだろうか。
顔に帽子を置いている為表情は伺えないが、ふむ。
拗ねていそうな気がする。
…仕方がない。
鳥に姿を変える、寝転がる炎の帽子を嘴で摘みあげる。
『何時まで拗ねているんだ小僧』
炎の瞳が驚いたかの様に見開かれた。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
