提案 ページ21
それからぽつぽつと、忘れてもいい様な話を繰り返した。
今日はそんな気分だった。
親父殿に何かを話したい、そんな気分。
…ああ、そうだ。
この機に言うのもいいかもしれない。
『…あと、もうひとつ。親父殿、2番隊の隊長の話で少し提案がある』
｢なんだ、腹は決まったのか？｣
対して変わらない顔色を、親父殿は少し変えた。
興味の色。そんな表情を浮かべて。
『隊長の座、引き受ける。但し条件がある』
｢…言ってみろ｣
流石は親父殿だ、条件に対しても驚きも無しか。
『炎…小僧を全面的に、2番隊の"隊長"として公表して欲しい』
｢ほう？そうする訳は｣
『…炎は、世界的に顔が知られているだろう。"そういう事"にしておけばアイツが2番隊の隊長だと信じ込めさせられる。要は"世界に対しての表向きの顔"さ。演じてくれればいい、俺が隊長の座を引き受ける条件はそれだ』
世界にはまだ、海賊として名を挙げたくない。
あくまでここの家族達にだけ伝わればそれでいい。
さて、親父殿はどう言うか。何と言うか。
｢…いいんじゃねェか、おめェの提案だろう。エースに話してやってもらえ。"表向き"をな｣
正式な2番隊の隊長はお前だって事はマルコに伝えておく、親父殿はそう言った。
人がいいな、親父殿は。
『ありがとう、親父殿』
｢礼を言われるもんじゃねェ。お前が決めた事だろう、後は好きにしろ｣
『…フフ、分かってる。それじゃあおやすみ』
｢ああ｣
それから俺は親父殿の部屋を後にした。
自室へ向かう、宴終わりのせいか廊下で寝ている船員もぽつぽつといた。
風邪を引かないといいが。
ふと、自室に向かう前に甘い匂いが漂ってくる。
食堂の方からだ。
コックだろうか、何をしているんだろう。
俺は気になって食堂の方へと歩いていった。
『コック』
｢あれ、スザク？まだ寝てなかったのか？｣
『それは俺の台詞だ。お前は…何してる、変に甘い匂いがしたから気になったんだが』
｢はは、バレたか。せっかくだから摘むか？おれ特製のチェリーパイ｣
パイ？…そういえば、街の喫茶店で見た事がある。
アップルパイ、だったか。それと似た様なものだろうか。
『…美味いのか？』
｢そりゃあ美味いだろ、甘い物は少なからず好きな奴は多…待てスザク、その口振りまさか甘い物食った事ない？｣
『……多分…』
｢食おうぜ！！｣
強制なのか、食った事が無いからって。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
