浸る ページ18
｢…落ち着いたか？｣
『…うん』
｢ふふ、目元赤くなっちゃったな｣
あれから数十分は経っただろう。
少し呼吸が引き攣る。
不死鳥に泣きついたあの時みたいだ。
『…でも、兄さん。何で生きて…』
｢ああ、簡単な話さ。急所は避ける事が出来てな、ただ瀕死ではあったんだが…ある人に拾われて助かったんだ｣
兄さんが言ったある人とは。
兄さんは今その人物が率いる組織で活動しているとの事だ。
何でも革命軍というらしい。
｢いい所だぜ？気の良い奴も多い、仲間も増えた。…俺の新しい家族だよ｣
…そうか、兄さんも新しい家族を見つけたんだ。
良かった、本当に。
安心した。
｢そこで相談なんだが…スザクって、今は名乗ってたんだよな、どうだ？革命軍に来るっていうのは｣
『え…』
俺が、革命軍に？
まさか勧誘する為に態々ここへ…？
誘いは嬉しい。兄さんと一緒に居れるんだから。
…でも。
『…ごめん、兄さん。その誘いには乗れない』
俺にも、待ってくれる家族がいる。
家族を置いて離れる訳にはいかない。
『嬉しいけど…俺にも、新しい家族が居るから』
兄さんは目を丸くしていた。
驚いていた様だけど、すぐに目を細くして穏やかに笑った。
｢…ま、断られるのは承知の上だったさ。俺には俺の、お前にはお前の居場所があって家族がある。…喜ばしい事さ、母さん達が生きてたらきっと誇りに思ってくれてるよ｣
『…うん』
そうであって欲しい。
成長した俺達を見たら、母さん達はどれ程喜んでくれただろうか。
ふと、兄さんの肩にあの烏が降りてくる。
ボソボソと何か伝えている様だ。
｢…悪いスザク、そろそろ行かなきゃならないみたいだ。コイツ急かす奴でな、遅れたら煩いんだ｣
『フフ…急かす気持ちは分かるよ、兄さん時々マイペースだから…あ、でも。ちょっと待って、渡したい物があって…取りに行ってくるから』
｢ああ、まだいいぜ。待ってるから取ってきな｣
良かった。
それだけ聞くと火を纏って翼を作る。
大空に飛び立って船に戻った。
｢……全く綺麗になっちゃって。見違えたなあ、アイツ｣
｢…シスコンか｣
｢ばーか、そんな風に呼ぶな。普通に妹思いの良い兄さんって呼べ｣
｢変わらんだろう｣
船に戻って自室へ駆け込む。
棚にしまって置いた残りのビブルカードの一部を破いて、また兄さんの元へ戻った。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
