手取り ページ13
｢お前は何て言うんだ。興味が湧いた、聞かせろ。お前の名前｣
お前みたいな輩に興味を持たれる気はないんだが。
離れた分の距離を長い足を活かしてか、ズンズンと歩み寄る。
ああクソ、何でこんなに距離詰めやがんだ。
『言う、言うから離れろ。近寄るな。お前は信用出来ない』
｢じゃあ手っ取り早く言えよ｣
『離れる方が先だ』
｢…めんどくせェな｣
少し嫌そうな顔を見せた後、小さく数歩下がった。
…聞き分けは良さそうだ、そこは良しとしよう。
『スザクだ』
｢淡泊な名前だな｣
『何とでも言え』
名前についてどうこう言われる気はない。
…嘘ではあれ、気に入っているのだから。
『…で、聞いて満足か』
｢愛想のねェ女だな、もっとよく教えろよ｣
『おい燃やされたいのかお前。手を伸ばすな、触んな』
折角離れたかと思えば今度は腕を伸ばしてくる。
途端に叩き落とした。
するとどうだ、また気色悪く笑みを浮かべる。
大股に一歩、歩み寄った。
｢じゃあどこまでなら近付いていいんだ？｣
ずい、と顔が近づく。
違う、そういう意味じゃない。
俺は…ああクソ
『近付いて良いとも言ってねェよ』
軽い足取りでまた離れる、のだが。
手首を掴まれた、少し冷たい。指先が冷えている。
｢そう照れるな、急かしたくなるだろ｣
『お前さっきから何言ってるんだ』
会話が成立していない。
ただの馬鹿か、それとも探りか。
どちらにせよ鬱陶しい事には変わりない。
そう思った時だ。足元の小石に足を取られ、後ろに倒れたのは。
『あ、』
それを好機と見たのか、長刀が覆い被さる様に跨った。
草原の中に仰向けになる。
逆光で男の顔がよく見えない。
『…離れろ』
｢少しは楽しませろよ赤眼屋。おれが相手してるんだ、損じゃないだろ？｣
『何にせよ損だ。いい事何て一つもねェ、不愉快だ』
｢クク、気の強い女は嫌いじゃない｣
コイツ…。
言ってるだけ無駄に感じられる様になってきた。
こめかみに少しずつ青筋が浮かんできている様な気がする。
怒りが爆発しそうだ。
ひた、と腹に男の手が這う。
服の上からでも手先が冷たくて、思わず身震いした。
｢…案外敏感じゃねェか｣
『…やめろ、擽ったい。お前の手は冷たい』
｢これから暑くなるから、丁度いいだろ？｣
何が丁度いいだ。
ああ、これじゃまるで。
虎に捕まって今にも喰われそうな、鳥じゃないか。
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セツ(プロフ) - これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2021年1月12日 21時) (
レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 隠し名！！！めっちゃ気になる…っ！にしても隠し名がyrってめっちゃかっこいい！センスが光りますね〜！ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - すごい面白くて更新が楽しみです！！ (2020年11月13日 5時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 即死級の技、鬼火！しかも青い炎とはマルコを連想させますね。先が気になる！ (2020年11月12日 15時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2020年11月8日 13時
